入院・医療費
糖尿病(第6章)

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糖尿病の入院にかかる期間と費用はどのくらい?

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糖尿病 (6章-1) 糖尿病で入院するときに知っておくべきこと

糖尿病を治療するために入院するというケースは少なくありません。
では実際に、どのくらいの期間、入院するケースが多いのでしょう。
ここでは糖尿病で入院するときに知っておくべきこと、
気をつけたいことをまとめます。

糖尿病で入院する人は年間約2万人

 糖尿病は進行すると、脳卒中や心筋梗塞、末梢動脈性疾患などのさまざまな合併症を引き起こします。中には視力を失ったり、足が壊疽(えそ)したりし、日常生活に支障をきたしかねない状態に陥る危険もあります。重篤な状態になる前から治療を開始し、症状を適切に緩和させていくのが望ましいでしょう。
 しかし、初期状態では自覚症状がなく、進行してから治療を開始する人は少なくありません。厚生労働省が実施した2014年の「患者調査」によると、糖尿病の患者総数は316万6,000人を数えます。糖尿病を理由に入院した人は2万900人で、病院などを外来として受診した人は22万2,300人となります。統計値だけでは必ずしも読み取れませんが、通院患者数が22万人強と多いのは、何かしらの異変や症状が現れてから初めて医療機関を受診する人が多いため、と推察することができます。
 入院した糖尿病患者は、どれくらいの期間入院しているのでしょうか。同じく厚生労働省の「患者調査」によると、糖尿病で入院していた患者の平均在院日数は35.5日となっています。約1カ月もの間、入院して治療する必要があることが分かります。なお、15歳から34歳の場合は14.1日と2週間程度ですが、65歳以上になると47.4日と期間が延びています。

目的によって異なる入院治療

 糖尿病を治療するための入院といっても、その目的に応じて入院時に実施する検査や治療法は異なります。
 健診結果などをもとに、さらに詳しい検査を実施するために入院することがあります。こうした目的の入院を一般的に「検査入院」と呼びます。血液検査や尿検査といった健診時の検査項目に加え、合併症を併発していないかどうかを調べるための検査も行います。具体的には心電図で心臓の病気を調べたり、眼底検査で目に異常がないか調べたりします。血圧や血糖値の推移を調べるため、数回にわたって血圧や血糖値を測定することもあります。検査入院は2~3日程度の期間で退院するのが一般的です。
 これに対し、症状が改善しなかったり悪化したりした場合は、積極的な治療を施すために入院します。こうした入院を「通常入院」などと呼びます。糖尿病や合併症の状態を検査するのはもちろん、具体的な治療を開始して症状を改善していくようにします。

高額な入院費を補助する制度も

 では入院によってどのくらいの費用がかかると見込んでおけばよいのでしょうか。糖尿病にかかわらず入院する場合、点滴や薬代なども含めた治療費、さらには室料、食費、衣類や日用品代などが発生します。

入院による費用の主な内訳

入院時の費用には、食事代や薬代のほか、衣類代や検査費、さらには個室なら室料などが加算される。

 公益財団法人生命保険文化センターが調査した、平成28年度の「生活保障に関する調査」によると、入院時の1日あたりの自己負担額は平均1万9835円でした。もし1カ月(30日間)入院したとすると、約59万円もの費用がかかることになります。
 なお、長期入院などによって医療費が膨らんだ場合、「高額療養費制度」を利用すれば負担を軽減することができます。医療機関や薬局で支払う医療費が1カ月で上限額(自己負担限度額)を超えた場合、超過分が戻ってきます。超過額の払い戻しは、医療機関が発行する診療報酬明細書(レセプト)をもとに審査してからとなるため、3カ月程度かかることがあります。
 上限額は年齢や所得に応じて異なります。もし入院が長引き、医療費が高額になりそうなときは、制度を利用できるかどうか、さらには上限額を確認しておくとよいでしょう。国民健康保険の加入者なら、加入する健康保険組合などに相談してください。

糖尿病 (6章-2) 糖尿病でかかる医療費

糖尿病は発症すると治癒するのが難しく、一生付き合うことになるかもしれない病気です。
医療費も継続して支払わなければならず、経済的な負担も看過できません。
ここでは糖尿病の医療費を中心に見ていくことにします。

増加傾向の糖尿病医療費

 糖尿病は放置すると、網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こしたり、さらには透析治療が必要になったりします。合併症を併発させないためにも早期に治療し、症状を悪化させないよう注意することが大切です。
 では実際、どのくらいの糖尿病患者がいるのでしょうか。厚生労働省の平成26年の「患者調査」によると、糖尿病の患者数は316万6,000人で、3年前の前回調査時より約50万人近く増えています。
 年々増え続ける糖尿病患者にとって、日々支払い続ける医療費は大きな負担となっています。では、いったいどのくらいの医療費が発生しているのでしょうか。
 厚生労働省が発表した平成26年度の国民医療費の概要によると、日本における医療費の総額は40兆8,071億円です。このうち糖尿病にかかわる医療費は1兆2,196億円となっています。ただし、この額には、糖尿病による合併症などの医療費は含まれておらず、実際は糖尿病を原因とする病気の医療費はさらに増えると見込まれます。
 年代別の内訳を見ると、0~14歳までの場合が29億円、15~44歳までの場合が672億円、45~64歳までの場合が3,286億円、65歳以上の場合が8,209億円です。なお、70歳以上に限ると6,370億円、75歳以上に限ると4,439億円となります。これは、がんの医療費(3兆4488億円)、高血圧性疾患の医療費(1兆8513億円)、心疾患の医療費(1兆8203億円)などと並び、高い値となっています。

年代別の糖尿病医療費の内訳

出典:厚生労働省「平成26年 患者調査」

 糖尿病はひとたび発症すると治癒するのが難しいことから、生涯をかけて治療費を支払い続けるのが一般的です。患者にとっては大きな負担となることから、中には治療を途中で断念してしまうというケースも少なくありません。医療費の適正化を至上命題と掲げる国にとって、がんや心疾患、さらには糖尿病といった「国民病」の予防や治療に力を入れることが重要となっているのです。

複数疾病保有で医療費も高くなる

 糖尿病はさまざまな合併症を引き起こしやすいことから、糖尿病とほかの病気を並行して治療する患者が多く見られます。では、糖尿病だけを治療する場合と、ほかの合併症も含めて治療する場合、医療費はどの程度変わるのでしょうか。
 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構が発表した「政府管掌健康保険における医療費等に関する調査研究報告書」では、生活習慣病として代表的な4つの病気(糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満症)の保有数と医療費の関係を比較しています。平成15年度の患者1人あたりの医療費は、保有数が0の場合は14万円、4つの病気をすべて患っている患者の医療費は45万円で、その差は約3倍もあります。患う病気の数が増えることで、患者への経済的な負担も大きくなることが分かります。
 糖尿病に限れば、合併症なしの場合の医療費は約25万円であるのに対し、合併症を4つ患っている患者の医療費は約60万円に上ります。合併症の数が増えるほど、医療費も高くなる傾向が見られます。
 もし合併症が1つもない場合、糖尿病治療に用いる年間の医療費は約25万となります(ただし自己負担額は3割負担のため約7万5,000円)。この結果から、毎月約2万円(自己負担額は約6,000円)の医療費を出費することになります。もちろん、合併症の有無のほか、治療方針、治療に用いる薬や量によって医療費は変わります。治療する際の目安として参考にしておくとよいでしょう。

糖尿病 (6章-3) 知っておきたい糖尿病用の薬

糖尿病を理由に入院する場合、
一般的にどんな薬が使われるのかを知っておくことが大切です。
ここでは一般的な薬物療法で使用する機会の多い薬の種類と、
効果について解説します。

血糖をコントロールする薬の種類

 糖尿病の治療に使われる薬は近年、種類が大幅に増えています。血糖コントロールの状態、年齢、ライフスタイルなどに合わせて選択できる幅が広がってきました。 日本では現在、使用できる経口薬とインスリン以外の注射薬は、その作用によって「糖の吸収や排せつを調整して血糖値の上昇を抑える薬」、「インスリンの効きをよくする薬」、「インスリンの分泌を促す薬」の3つのタイプに分けられます。

糖尿病の治療に使われる主な薬

糖の吸収や排せつを調整して血糖値の上昇を抑える薬

 膵臓はインスリンを分泌する機能を備えているものの、その機能が低下してインスリンを分泌する速度が追いつかなくなると、食後高血糖に陥りやすくなります。また、食後高血糖が続くと、高血糖が常態化します。
 こうした状態を防ぐため、食事による糖の吸収を抑える「α-グルコシダーゼ阻害薬」、あるいは糖を意図的に排せつして血糖を減らす「SGLT2阻害薬」などの薬が使われます。

 α-グルコシダーゼ阻害薬
 糖をブドウ糖に変える消化酵素、α-グルコシダーゼの働きを抑え、小腸が糖を吸収するのを遅らせて食後の血糖値上昇を抑えます。食後高血糖の患者に向いています。

 SLGT2阻害薬
 腎臓で尿が作られる際に、ブドウ糖が血管内に再吸収されます。SGLT2阻害薬は、その働きを阻害して、尿からブドウ糖を排せつさせます。ブドウ糖を排せつすることで体重減少の効果も見込めることから、肥満の患者にもよく使われます。

 インスリンの効きをよくする薬
 膵臓がインスリンを分泌してもその作用が低下した状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。このとき、筋肉や脂肪でブドウ糖が消費されにくく、血糖値が高くなります。このインスリン抵抗性を改善する薬として「ビグアナイド薬」や「チアゾリジン薬」があります。

 ビグアナイド薬
 肝臓で糖以外の物質からブドウ糖が作られるのを抑制するほか、筋肉などでブドウ糖が利用されるのを助けます。この薬には食事によるブドウ糖の吸収を抑える働きもあります。

 チアゾリジン薬(インスリン抵抗性改善薬)
 肝臓や筋肉、脂肪でインスリンの効き目をよくしてブドウ糖の消費を助けます。インスリン抵抗性で高血糖になっている患者の肥満を改善するのにも適しています。

 インスリンの分泌を促す薬
 膵臓のβ細胞でインスリンを生成・分泌する機能が低下したことで血糖値が高くなった場合、β細胞に働きかけてインスリン分泌を促進する薬が使われます。インスリン分泌促進薬には「スルホニル尿素(SU)薬」、「速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)」、「DPP-4阻害薬」という経口薬に加え、「GLP-1受容体作動薬」という注射薬があります。

 スルホニル尿素(SU)薬
 膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促進します。インスリンの分泌が遅いとき、インスリン分泌量が不足しているときに使われます。薬の効き目が続く限りインスリンの分泌を促すため、ほかの経口薬と比べて低血糖が起こりやすいので注意が必要です。

 速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
 膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促す薬です。効き目が早いのが特徴で、服用して30分後にはインスリンの分泌を促進します。ただし作用する時間は短く、食事の直前に服用することで、ピンポイントで食後高血糖を抑える効果があります。

 DPP-4阻害薬
 食事を摂ると小腸からインクレチンというホルモンが分泌されます。これは膵臓のβ細胞に働き、インスリン分泌を促進します。しかしインクレチンの多くは膵臓に届く前にDPP-4という酵素によって分解されます。そこでこのDPP-4を阻害して、膵臓にインクレチンを届けやすくするのがDPP-4阻害薬です。糖が吸収されインクレチンが分泌されたときのみに働くため、低血糖になりにくいのが特徴です。

 GLP-1受容体作動薬
 インクレチンの一種であるGLP-1は膵臓のβ細胞に働き、インスリン分泌を促します。DPP-4阻害薬と同様、糖が吸収されインクレチンが分泌されたときのみに働きます。