痛風の合併症
痛風(第3章)

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痛風によって併発する合併症は様々、特に注意したい腎障害

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痛風 (3章-1) 痛風によって併発する合併症とは?

尿酸値だけ高いがほかの検査数値はすべて正常、
あるいは痛風発作だけ起こるがほかには何も異常はない、というケースがあります。
しかし、多くの痛風患者は生活習慣病などのほかの病気や異常を併発しています。
特に複数の病気があると相乗的に病状が悪化する危険性があります。

腎障害や尿路結石に注意

 痛風・高尿酸血症の合併症として特に気をつけたいのが腎障害です。体内で過剰になった尿酸は結晶化して関節などに蓄積しますが、この尿酸塩結晶の蓄積が、関節に次いで起こりやすいのが腎臓です。腎臓に尿酸塩結晶が蓄積すると、腎機能が低下します。
 腎臓にたまった尿酸塩結晶は、やがて塊になって尿路結石となります。尿路結石は、結石ができる場所によって腎杯(尿の出口)結石、腎盂(じんう)(尿が集まる場所)結石、尿管(尿の流れる道)結石、膀胱結石、尿道結石に分かれます。このうち腎杯、腎盂、尿管までの結石を上部尿路結石、膀胱、尿道の結石を下部尿路結石と呼びます。

主な尿路結石の種類と発生する部位

 腎臓付近にできる結石を上部尿路結石、膀胱付近にできる結石を下部尿路結石に分類。さらに腎結石(腎杯結石、腎盂結石)、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分かれる。  また、結石を作る成分にもいろいろあります。シュウ酸カルシウム結石が最も多く、尿酸結石が続きます。日本泌尿器科学会の尿路結石症診療ガイドライン 2013年版によると、尿酸結石は、上部尿路結石のうち男性の場合で5.5%、女性の場合で2.2%、下部尿路結石では男性の場合で13.8%、女性の場合で3.8%を占めています

高血圧から動脈硬化、心臓発作や脳卒中へと発展することも

 高血圧、心血管系疾患、脂質異常症、メタボリックシンドロームなども、痛風・高尿酸血症と併発しやすいものです。
 血圧の理想的な値(至適血圧)は、収縮期血圧(上の血圧)が120mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg未満です。それぞれ140mmHg未満、90mmHg未満までは正常、それ以上になると高血圧です。ただし上が120mmHg以上140mmHg未満、下が80mmHg以上90mmHg未満の場合は正常でも少々高めであり、合併症などの状況によっては下げるよう指導されることがあるかもしれません。高血圧を放置すると動脈硬化が進行し、心臓や脳の病気の引き金になることがあります。また、高血圧は腎臓を悪化させる危険因子です。高血圧と痛風・高尿酸血症が合併すると、腎障害も悪化しやすくなります。
 心血管系疾患とは心臓や血管などの循環器の病気です。血管が詰まったり狭くなったりして発作的に起こる心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、下肢の動脈で同様のことが起こる末梢(まっしょう)動脈疾患などがあります。また、脳の血管で閉塞(へいそく)や狭窄(きょうさく)が起こった場合、脳血管障害(脳卒中)が引き起こされます。これもまた、痛風・高尿酸血症の合併症として注目されています。
 脂質異常症とは、血液中の脂質の量が異常値を示すもので、悪玉コレステロールや中性脂肪が過剰になった状態、あるいは善玉コレステロールが不足した状態です。脂質異常症も高血圧と同様に動脈硬化の原因の1つで、心臓や脳の病気の危険因子といえます。

“メタボ”も重要な合併症

 特定健診・特定保健指導には2008年、「内臓脂肪症候群」という名前でメタボリックシンドロームの考え方を取り入れました。ウエスト周囲径を測る様子が話題になり、その後は“メタボ”の通称であっという間に知られるようになりますが、これもまた痛風・高尿酸血症の合併症といえます。
 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が加わった状態です。1つひとつの数値はすぐに治療が必要というほど高くはないものの、重なることで動脈硬化などのリスクが高まります。尿酸値の上昇とメタボリックシンドロームの進行は比例関係にあることが分かっています。

痛風 (3章-2) 注意したい腎障害

腎臓に尿酸塩結晶が蓄積して起こる「痛風腎」を含めて、腎障害は無症状のまま進行します。
腎障害に気づかなかったり、気づいても適切な治療を受けずに放置したりすると、
腎不全といって腎臓がほとんど機能しない状態に陥ってしまいます。

尿酸値上昇で痛風腎やCKDのリスクが高まる

 腎臓に尿酸塩結晶が蓄積すると、腎機能が低下します。すると尿酸の排せつ機能がさらに低下して、結晶が体内に蓄積しやすくなります。このように尿酸によって機能低下を起こす腎障害を「痛風腎」と呼びます。
 痛風・高尿酸血症に合併する腎障害は、痛風腎以外にも、「慢性腎臓病(CKD)」などが知られています。CKDは2002年に米国腎臓財団が定義したもので、CKDは以下のいずれか、または両方が3カ月以上続いているときに診断されます。

尿酸値が高いほど腎機能は低下する

 CKDと尿酸値上昇には密接な関係があることが、近年いろいろな研究で明らかになっています。例えば、集団検診に参加した男女約6,400人を2年間追跡した調査では、尿酸値が高い(8.0mg/dL以上)人たちは、尿酸値が正常(5.0mg/dL未満)な人たちに比べて、腎機能の指標であるクレアチニン値が高くなる危険度が男性で2.9倍、女性で10.4倍でした。また、尿酸値が高くなるほど腎機能が低下するという相関関係も認められています。

腎障害は自覚症状がないまま進行する

 腎障害を放っておくと、やがて腎臓が働かなくなり「腎不全」に陥ります。腎臓は人体にとって不要な老廃物や毒になるものを排せつする役割を担っています。腎臓が働かなくなるということは、体内に老廃物や毒素がたまってしまうことを意味します。この状態が「尿毒症」です。かつては痛風と腎障害を合併し、尿毒症となって亡くなるケースが多く見られました。

腎障害によって体内に老廃物や毒素がたまってしまう

 腎臓の機能が低下して老廃物や毒素を体外に排せつしにくくなると、やがて腎不全に陥る。老廃物などが体内にたまって尿毒症に陥る。

 腎障害は現在、高尿酸血症の段階で発見でき、適切な治療を行えるようになりました。たとえ腎不全に陥っても人工透析などの腎臓の機能を代替する治療法が普及し、尿毒症も回避できることから、腎障害の合併が死に直結する恐れはほぼなくなりました。しかし、腎障害になると食生活や運動に制約があるなど、日常生活に大きく影響するのは確かです。万一、人工透析が必要な状態になれば、時間的な制約も加わり相当な負担を強いられることになります。
こうした状態に至らないために意識したいのは、腎障害が症状のないまま進行する病気である点です。ある程度進行すれば尿が出にくい、体がむくむなどといった自覚症状に気づきますが、こうなったときには腎機能はかなり低下していると考えられます。
 痛風・高尿酸血症の合併症としての腎障害を予防したり、悪化を防いだりするためには、尿酸値が高いことに気づいた時点から、尿酸値を下げる治療、あるいは生活改善を始めることが大切です。

痛風 (3章-3) 危険度高まる虚血性心疾患と脳血管障害

尿酸値が高いと心臓病や脳卒中になる、といい切ることはできないものの、
痛風・高尿酸血症の人の多くが併発する高血圧や脂質異常症があると動脈硬化が進みます。
この動脈硬化は心臓や脳の病気の危険度を高めるので要注意です。

高血圧や脂質異常症から動脈硬化が進行

 「動脈硬化」は、血管の壁にコレステロールなどの脂質がたまることによって起こる状態です。血管が厚くなると同時に固くなり、本来のようなしなやかな動きをできなくなります。 血管の壁は内側から、内皮細胞に覆われた内膜、比較的厚く弾力性のある中膜、血管外の組織と接する外膜と、3層構造になっています。このうち脂質がたまるのは内膜です。高血圧などの刺激によって内皮細胞が傷つくと、そこに白血球が集まり、さらに血液中の脂質(コレステロールなど)が集まって内膜が膨らんで厚くなります。このとき内膜の中はお粥のような形状になることから、粥状動脈硬化とも呼ばれます。
 血管壁が厚くなると血液の通り道は狭くなります(狭窄)。さらに狭窄した部分に血液の塊などが流れてくると、それが栓のようにはまってしまい(血栓)、血管が詰まります(閉塞)。

心臓の血流が止まる心筋梗塞と不足する狭心症

 血管が詰まると、その先に血液が行かなくなることから細胞が壊死(えし)します。心臓に血液を供給する血管である冠動脈で起こると「心筋梗塞」が発症し、心筋の細胞が一部死んでしまいます。心筋梗塞の症状は、強い胸の痛み、呼吸の乱れ、冷や汗、嘔吐(おうと)、意識障害などです。

心筋梗塞の主な症状

 冠動脈で発生する心筋梗塞になると、強い胸の痛み、呼吸の乱れ、冷や汗、嘔吐などが現れる。

 一方、血管が完全に詰まらないまでも、狭窄が起こればその先の組織で血液が一時的に不足します。これにより痛みや圧迫感などを伴って発症するのが「狭心症」です。心筋梗塞と狭心症は心臓病の一種であり、これらをまとめて「虚血性心疾患」と呼びます。
 虚血性心疾患は、症状のないまま進行するという意味でサイレントキラーの一種といえます。日頃は元気に暮らしている人が、ある日突然発症し、命の危険にさらされるのです。心筋梗塞の発症から3日以内を「急性心筋梗塞」と呼びます。厚生労働省の「人口動態統計 2014年」によると、急性心筋梗塞による死亡数は2014年の1年間だけで3万7,222人に上ります。急性心筋梗塞を含む心疾患の死亡数は、同じく2014年の1年間で19万6,926人となっており、この数は死因別死亡数においてがんに続く2番目の多さです。

脳血流が不足して起こる脳血管障害

 動脈硬化が脳の血流に関係する血管で進行すると、脳血管が詰まる「脳梗塞」や、脳血管が破れる「脳出血」などに至る可能性があります。これらはまとめて「脳血管障害」と呼ばれます。脳血管障害も虚血性心疾患同様、命にかかわる病気で、やはり突然発症します。脳梗塞による死亡数は上記統計で6万6,058人、同じく脳出血による死亡数は3万2,550人に上ります。脳血管障害全体の死因別死亡数は4位です。
 脳血管障害になると脳細胞の一部が破壊されるため、半身麻痺や言語障害、運動障害が残ることがあります。中には半身不随になってしまうケースもあり、発症後の影響は深刻です。
 虚血性心疾患や脳血管障害と尿酸値の上昇に、直接的な因果関係があるかどうかは分かっていません。しかし、尿酸値が高いと高血圧や脂質異常症を併発しやすく動脈硬化が進みやすいことから、結果的に重大な病気の危険性を高めるといってよいでしょう。