痛風の予防
痛風(第4章)

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痛風予防のために控えたいもの・取り入れたいもの

痛風 (4章-1) 普段の生活で実践したい決まり事

痛風・高尿酸血症は生活習慣と密接に関連する病気であるため、
日常生活に気をつけることで発症リスクを低減できます。
食生活、飲酒習慣、運動習慣を含むライフスタイル全般を
痛風予防の視点で見直すときのポイントをまとめます。

内臓脂肪型肥満の解消が大事

 痛風・高尿酸血症の人の多くに肥満が見られます。肥満には主に皮下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」と、主に内臓の周囲に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」があり、内臓脂肪の蓄積が、いわゆるメタボと呼ばれるメタボリックシンドロームに関連することが分かっています。すなわち、病気予防の観点からは内臓脂肪型肥満の解消がより重要で、特に内臓脂肪型肥満をベースに高血圧などを併発している人は、痛風・高尿酸血症のリスクが高いことが分かっています。
 自分が肥満かどうかを客観的に知るためには、「体格指数(BMI)」を算出するのが手軽です。BMIは、以下の式で求めることができます。  この値が18.5~25未満なら「標準」、25以上なら肥満です。35以上になると「高度肥満」として治療対象になります。またBMIが22のときが最も病気になりにくいとされています。 内臓脂肪型肥満かどうかを知るにはウエスト(へその高さ)周囲径を測ります。これが男性の場合は85cm以上、女性の場合は90cm以上で内臓脂肪型肥満と考えられます。

内臓脂肪型肥満を調べる際のウエスト周囲径の目安

 ウエストのサイズが男性85cm、女性90cm以上の場合、内臓脂肪型肥満が疑われる。

 「考えられます」という表現なのは、ウエスト周囲径はあくまで目安であり、正確には、内臓脂肪面積が100cm2を超えた状態を内臓脂肪型肥満と定義しているからです。手足などのほかの部分は細いのにおなかだけが出ているという人も、このタイプの肥満の可能性があります。
 肥満を解消するためにはカロリー摂取を抑えてバランスのよい食事を心がけること、脂肪を燃焼する運動をすることが大切です。一般に、内臓脂肪は皮下脂肪より燃焼しやすく、食事や運動による取り組みの効果を自覚しやすいことから努力のしがいもありそうです。

軽い運動を継続して行う

 肥満解消とも関連しますが、痛風・高尿酸血症の予防には運動も必要です。ただし、激しい運動はかえって尿酸値を高めるため、軽めの有酸素運動を継続して行うようにしましょう。有酸素運動は高血圧や脂質異常症、メタボリックシンドロームの予防、改善の観点からも効果的です。

アルコールの飲みすぎやビールへの偏りに注意

 アルコール飲料はほぼすべての種類で尿酸値を上昇させます。そのため、アルコールを飲みすぎないことは重要なポイントです。特にビールは尿酸の原料となるプリン体を多く含み、飲む量も多くなりがちなので気をつけましょう。

水分を十分に取って尿とともに尿酸を排せつ

 尿酸は体の中で作られて、腎臓から尿中に排せつされます。したがって水分を十分に取って、尿量を増やすと尿酸の排出量も増えます。毎日十分な水分を取り、たくさんの尿を排せつすることが大事です。ただし、水やお茶が基本です。甘い飲み物を大量に飲んではいけません。果糖・ショ糖の取りすぎは尿酸値を高め、肥満にもつながります。

ストレスを解消し心に余裕を持つ

 ある程度のストレスは人が生きる上で必要ですが、過剰なストレスは病気につながります。痛風・高尿酸血症に限らず病気予防のためにはストレス解消が大切です。ストレス解消に向く方法は人によってさまざまです。好きなことに打ち込む時間を持つ、散歩をする、旅に出る、友人とおしゃべりをする、1人になる時間を作るなど、自分に合った解消法を見つけましょう。ストレス解消のためにやけ飲み、やけ食いなどをすると尿酸値が上がるので要注意です。

痛風 (4章-2) 痛風予防につながる意外な習慣

痛風・高尿酸血症予防のためには、控えるべき習慣が少なからずあります。
その一方で、積極的に取り入れたい習慣もあります。具体的にどんな内容か。
日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版」を参考に
そのいくつかを紹介します。

コーヒーの摂取量が多いほど痛風になりにくい

 どのような生活習慣が痛風発症に影響するのかは、ある程度まとまった集団について、生活習慣や痛風発症の有無を長期間にわたって調査することで明らかになります。肉類やアルコールが痛風のリスクを高めることも、そうした研究により確かめられています。
 痛風の既往のない男性約4万6,000人を12年間調査したアメリカの研究では、コーヒーの摂取量が多いほど痛風発症リスクが低いことを突き止めました。コーヒーを飲まない集団の発症リスクを1とした場合、コーヒーを1日に1杯未満飲む集団の発症リスクは1.0倍と、飲まない人と同等でした。しかし、1~3杯飲む集団は0.9倍、4~5杯飲む集団は0.6倍、6杯以上飲む集団は0.4倍と、リスクが低くなっていたのです。この調査では、カフェイン抜きのコーヒー摂取でも痛風発症リスクが下がることが確認されています。

乳製品摂取量が多いと痛風発症リスクが0.6倍に

 同じくアメリカで、痛風の既往のない男性4万7,000人を12年間にわたって調査した研究では、乳製品の摂取量が多い集団は、少ない集団に比べて痛風発症リスクが0.6倍も低いことが分かりました。

乳製品を多く摂取すると痛風発作のリスクを低減する研究も

 乳製品を多く摂取する集団は、あまり取らない集団と比べて、痛風発作の起こるリスクは0.6倍になるという研究結果がある。(出典:公益財団法人日本医療機能評価機構)

 この研究では、発症リスクの高い条件も抽出しています。例えば肉類摂取量の多い集団の痛風発症リスクは少ない集団の1.4倍、魚介類摂取量の多い集団の痛風発症リスクは少ない集団の1.5倍、といったデータも示されています。

「ランニング距離が長い」とリスクが下がる

 ランニング距離が長い集団は短い集団より痛風発症リスクが低いというユニークな研究もあります。アメリカで約2万9,000人の男性を対象に実施した研究では、ランニング距離の長い集団の痛風発症リスクは短い集団の0.9倍となっています。
 同じ調査で、適度な運動をする集団の発症リスクは0.6倍となっています。激しい運動は尿酸産生を促進するため痛風発作リスクを高めますが、同じ運動でも適度に行えばリスクを下げることになるのです。

アルカリ性食品を取ると尿酸が尿に溶けやすくなる

 ガイドラインでは、アルカリ性食品の積極的な摂取が尿酸の排せつに有効であることも指摘しています。尿が酸性に傾いていると尿酸が尿に溶けにくくなりますが、アルカリ性食品には尿を中性化する働きがあるため、尿酸の溶解度が高まるのです。
 アルカリ性食品とは、ワカメ、コンブ、ヒジキといった海草類、キャベツ、ニンジン、ダイコン、ナス、ホウレンソウといった野菜類、ジャガイモ、サツマイモといった芋類、バナナ、メロンといった果物類などで、積極的に取るとよいでしょう。

主なアルカリ性食品

 アルカリ性食品はこれらに加え、大豆やキノコ類にも多い。ただし、取りすぎは肥満を招くので十分注意する。

 ただし、肥満予防の観点から、カロリーや糖質の含有量には注意が必要です。海草類や野菜類を中心にバランスを取りながら、日々の食生活にアルカリ性食品を取り入れてみましょう。
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痛風 (4章-3) 痛風予防に効果的な運動とは?

尿酸値が高めの状態で痛風発作を予防するための運動を行う場合、
無理のない強度で気分がすっきりする運動がおすすめです。
例えばウォーキングやスイミング、軽いサイクリングなどです。

継続した有酸素運動に取り組もう

 激しい運動は尿酸値の産生を促すので痛風予防の観点からは不向きです。反対に、ゆったりとした運動は、尿酸値を上昇させずに行うことができるのでおすすめです。中でも、場所や時間を問わず行いやすいのがウォーキングです。
 ウォーキングとは、歩くことを利用して健康維持・増進を目指すもので、酸素を使いながら筋肉に弱い負荷をかけ続け、時間をかけて脂肪燃焼を図る有酸素運動の代表です。有酸素運動はウォーキングのほかに、軽いジョギング、軽いサイクリング、ハイキング、エアロビクス、エアロバイク、踏み台昇降、スイミング、アクアビクスなどがあります。これらは痛風・高尿酸血症に合併しやすい高血圧や脂質異常症、これらを元に発症する動脈硬化、心臓や脳の病気、さらには糖尿病、肥満などさまざまな病気や症状の改善に役立ちます。
 有酸素運動の効果を得るためには、できれば30分以上継続して行うのが理想的です。運動をスタートしてからしばらくはエネルギーとして糖質が使われており、体内で脂肪が燃焼し始めるまでには20分程度の時間が必要になるからです。

ウォーキングはダイナミックに

 ウォーキングで運動効果を得るためには、散歩のようなブラブラ歩きではなく、息がはずむ程度に歩くのがポイントです。太ももやお尻の筋肉を大きく使って足を踏み出し、腕をよく振るようにしましょう。ウォーキングのときの理想的なフォームは以下の通りです。

ウォーキングのポイント

 ウォーキングは正しい姿勢を心がけることで効果を高められる。普段より早歩きすることもポイントである。

運動中は水分・ミネラル摂取をこまめに

 軽い運動でも一定時間行えば汗をかきます。また、運動効果を得るためには汗ばむ程度の負荷が必要です。汗をかけば体の水分が奪われてしまうため、奪われた水分を外から補わないと脱水につながります。
 脱水は尿酸値上昇のリスクであるだけでなく、心臓や腎臓、呼吸器、そのほかの体のあらゆる部分にダメージをもたらします。ひどくなると、体に必要なものを取り入れ、不要なものを排せつするといった生命活動に支障が出たり、体温をうまくコントロールできなくなったりすることもあります。脱水症で意識不明になり救急搬送されるケースは珍しくありません。そうならないためにも、運動中は意識して水分とミネラルを補給しましょう。

主治医と相談しながら行う

 痛風予防のために運動を始めようとする人が、もしすでに高尿酸血症の治療を受けているなら、運動に取り組む前に主治医とよく相談してください。
 また、高血圧や糖尿病などで治療を受けている人の中には、検査時に尿酸値の上昇を指摘されるケースがあります。この場合、尿酸値を下げる治療はすぐ始まらないかもしれませんが、痛風の危険度が高まっていることは否定できません。運動を始める際には持病を診ている医師に事前に相談し、無理のない範囲で安全に実施するよう注意しましょう。