痛風の治療
痛風(第5章)

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痛風発作は症状がないときの治療と冷静さが重要

痛風 (5章-1) 痛風はどのようなアプローチで治療すべきか?

痛風の治療をする上で大事なポイントは、発作による痛みを取り除くこと、
痛みなどの症状により仕事や日常生活におよぶ悪影響を極力抑えること、
次の発作が起きないように尿酸値を十分にコントロールすることです。

発作が起きたらできるだけ早く受診

 痛風発作が起きたら、医療機関をできるだけ早く受診するのが痛風治療の鉄則です。症状が強く現れている段階で受診すると、似たような症状の病気と区別できることから確定診断しやすく、治療を速やかに始められます。
 受診するのは内科や整形外科が一般的ですが、中には「痛風外来」などの専門外来を設ける医療機関があります。最近増えている「総合診療科」に案内されるケースもあります。
 受診する前に注意したいのは、自己流の手当てをしてはいけないということです。例えば痛みを和らげようと患部をもんだりさすったりするのは禁物です。痛みの状態によっては効果的な方法でも、痛風発作に関しては痛みがかえって強くなる危険性があるので控えましょう。

痛風発作では患部を揉みほぐすのは禁物

 痛風発作の場合、患部を揉んだりさすったりすると、痛みがより強くなる危険性がある。痛風かどうかの判断がつかない場合、勝手に治療しないよう注意したい。

 また、市販の鎮痛薬を使うのも厳禁です。アスピリンなどの薬を飲むと発作がさらにひどくなり、痛みが増すことがあります。
 アルコールを飲んで痛みを紛らわそうとしたり、少しでもリラックスしようと入浴したりするのも、発作を悪化させる危険性があります。
 このように、痛風発作のときの禁止事項は多くあります。一方で、自分で実践できる方法もあります。それは、患部を冷やすことと高く上げることです。これら以外は何もせず、できるだけ安静を保ちましょう。

発作時は冷静さを保つことが大事

 痛風発作は一般的に、激しい痛みを伴います。そのため発作が起こると仕事や日常生活に悪影響が出たり、本人の対応によっては家族を巻き込む大騒ぎになったりすることがあります。
 しかし、関節がどんなに痛くても、命に直接かかわるわけではありません。もし発作が起こっても冷静に対応するよう努めましょう。医療機関を受診したら、症状の起こった時間や状況などを医師にきちんと伝えることが大切です。
 尿酸値がもともと高いことが分かっている人は、痛風発作が起こる可能性があることを常に意識しておくだけでも、いざというときに気持ちに余裕を持つことができます。また、発作が起こることを想定し、すぐに駆け込める病院を探しておくと安心です。

症状がないときの治療が重要

 痛風発作の治療は薬物療法が主です。薬物療法は、痛風発作の症状が激しく起こっている最中と、発作の前兆が見られるとき、あるいは次の発作が起きないように予防的に行う場合で薬剤の種類や使い方が異なります。
 痛風結節の場合も薬物治療が基本ですが、結節が壊れて感染している、関節の動きを妨げている、ほかの組織を圧迫しているなど、大きな問題が生じている場合には摘出手術を行うケースもあります。
 合併症がある場合は並行して治療します。痛風発作や痛風結節を治療する場合、忘れがちになりますが、合併症の症状を改善する治療も同時に進めることが欠かせません。痛風の発作などが治まったとしても、合併症は進行している可能性があります。痛風の症状が現れない期間も尿酸値を継続してコントロールし、再び発作が起こるのを防ぐように気をつけます。痛風の症状に左右されることなく、継続した治療に取り組むようにしましょう。

痛風 (5章-2) 痛風関節炎の治療時に使用する主な薬とは?

痛風関節炎(痛風発作)の治療は、痛風関節炎の診断基準によって診断されます。
ほかの病気やけがとの鑑別診断も行った上で、治療を開始するのが一般的です。
では、治療にはどんな薬が用いられるのか。
痛風の治療では、主に3種の薬が使われます。

発作時は「NSAIDパルス療法」で激痛を緩和

 痛風発作が起こっているときに用いる薬は「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)」で、短期間に大量投与します。この方法を「NSAIDパルス療法」といいます。NSAIDとは、炎症を抑える薬の総称で、インドメタシン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプラフェンなどが含まれます。
 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版」では、NSAIDパルス療法の例として、ナプロキセンの使い方を次のように紹介しています。「例えばナプロキセンの場合、300mgを3時間ごとに3回、1日に限って投与する。その後も疼痛が軽減しない場合は、3回投与後、24時間の間隔を置いてもう一度、300mgを3時間ごとに3回服用させる」。
これを読むだけでも、症状を見ながら細かな対応をすることが必要だと分かります。多くのケースで、この治療によって痛風発作は軽快するといいます。しかし、十分な効果が得られなかった場合、NSAIDの投与(常用量)を続けます。
 ただし、NSAIDには腎臓の血流を低下させる副作用を持つものがあります。腎障害を合併している人の場合、腎臓への影響が少ないNSAIDか、NSAID以外の薬を使います。

NSAID以外なら副腎皮質ステロイド

 腎障害によってNSAIDを使用できない、NSAIDが効かない、複数の関節で痛風発作を起こしているといったケースでは副腎皮質ステロイドを用います。また、ワルファリンカリウムを使っている人の場合、薬剤の相互作用を避けるために副腎皮質ステロイドを用います。副腎皮質ステロイドは、強い抗炎症作用を持つ薬です。
 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版」では、NSAIDパルス療法と同様に、副腎皮質ステロイドを使った治療について次のように紹介しています。
 「一例として、プレドニゾロン15~30mg を投与し関節炎を鎮静化させ、1週ごとに3分の1量を減量し、3週間で中止する方法がある。重症例においては、少量(1日5mg程度)を数カ月間投与せざるをえない場合がある」。
 患部に水腫(組織内に液体がたまった状態)を伴う場合、関節に針を刺してたまった液体を吸い出します。液体を除去した後に副腎皮質ステロイドを注入する方法もあります。もちろん専門医が行う治療法です。

発作の前兆があったら免疫反応を抑える薬を1錠服用

 痛風発作は、2回目以降になると前兆を感じる人がいます。前兆の例としては、足の違和感、ピリピリ、あるいはジンジンした感じなどがあります。

2回目以降の痛風発作で現れやすい主な症状

 過去に痛風を経験した人は、2回目以降は発作が起こる前兆を感じる人がいる。足の違和感やピリピリした感じ、ジンジンした感じなどの症状が現れる。

 この段階で服用するのが「コルヒチン」です。発作を予防したり、発作のごく初期に服用して症状を軽くしたりする目的で用います。コルヒチンは昔から使われている、イヌサフランという植物の種子から作った薬です。
 痛風発作は関節にたまった尿酸塩結晶を異物と認識した白血球が、攻撃を開始することで発症します。コルヒチンには、このとき白血球が関節に集まるのを抑える作用があります。
 痛風発作を起こしたことがある人がコルヒチンを常に持ち歩き、前兆を感じたら1錠(0.5mg)服用するのが一般的な使い方です。
 ほかにも発作を繰り返す場合や、尿酸降下薬によって急激に尿酸値が下がり、そのことをきっかけに痛風発作が起こる可能性がある場合には、コルヒチンを1日1錠、1~3カ月服用することがあります。この方法を「コルヒチン・カバー」といいます。
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痛風 (5章-3) 高尿酸血症を治療するための基本

高尿酸血症を治療する第一の目的は、
体内での尿酸塩結晶の沈着を解消し、痛風発作や痛風腎などを予防することです。
その上で高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなど合併症の改善に努め、
生活習慣病全般の予防へとつなげるようにします。

高尿酸血症の診断は複数回の血液検査で

 高尿酸血症の診断には正確な尿酸値の測定が不可欠で、尿酸値の測定には血液検査を用いるのが一般的です。腕などから採血し、その血液を遠心分離して得られた血清(血球が沈殿した状態の血液の上澄み部分)の中に、尿酸がどれくらい含まれているのかを測ります。
 尿酸値は検査の時間や季節によって変わることがあります。日内変動は0.5mg/dL以内です。夏の時期に高めになる傾向もあります。また、食事、運動、飲酒、精神活動などの影響も受けます。こうした尿酸値の変動を考慮し、高尿酸血症の診断は、尿酸値の測定を複数回繰り返した上で行います。

「尿中尿酸排せつ量」と「尿酸クリアランス」から3つの病型に分類

 高尿酸血症には、「尿酸産生過剰型」「尿酸排せつ低下型」「混合型」の3つの病型があります。したがって、治療を始める前にどの病型なのか把握できるのが理想的です。
 尿酸は健常者の場合、体内で産生と排せつを自然に繰り返しており、一定の量が保たれて(プールされて)います。これを「尿酸プール」と呼びます。尿酸の産生と排せつのバランスが崩れ、産生が過剰になるか排せつが低下するか、あるいはその両方が重なることで、尿酸プールにたまった尿酸が一定量よりも増えてしまった状態が高尿酸血症です。
 病型分類には、尿酸が一定時間にどれくらい排せつされたかを知るための「尿酸クリアランス」と、同じく一定時間内にどれだけクレアチニンが排せつされたのかを知る「クレアチニン・クリアランス」の2つの数値を使います。クレアチニンとは腎機能の指標となる物質で、測定することで尿酸の排せつ能力低下に腎機能低下が関係しているかどうかを知ることができます。
 これらの測定には、外来で「60分法」を行うケースがあります。60分法とは、3日前から食事などを制限し、検査当日は絶食状態で、決められた量の水を飲み、排尿後、一定時間ごとに排尿量や採血、採尿を行うものです。

60分法の進め方

 60分法では検査する3日前から食事などを制限する。血中の尿酸やクレアチニンを測定するために必要な検査だが、現在はすべての医療機関で必ず実施する検査ではない。病型分類せずに薬物投与するケースが多い。

 また、検便法として尿中の尿酸とクレアチニン濃度の比率を調べる方法があります。薬剤を使っていない時の尿中尿酸/尿中クレアチニンが0.5を超えると尿酸産生過剰型が多く、0.5以下だと尿酸排せつ低下型が多いとされています。
 この病型分類は、最適な治療のために必要ですが、すべての医療機関で行われるわけではありません。むしろ病型分類をせずに薬剤投与を行う方が多いのが現状です。

生活習慣の改善を基本に薬物療法をプラス

 高尿酸血症は生活習慣が大きく影響して発症に至ります。治療はこれまでの食事、運動、飲酒などの傾向を見直し、適切な生活習慣を身につけ実践することが基本になります。
 ただし、痛風発作や痛風結節のある場合、生活習慣の改善だけでコントロールすることは難しく、適切な薬物療法により尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することによって、初めてコントロールできます。また、尿路結石のある場合、尿酸生成抑制薬によって尿中への尿酸の排せつを抑えることが必要です。
 なお、尿酸値が高くても発作や結節に至っていない高尿酸血症を「無症候性高尿酸血症」と呼びます。無症候性高尿酸血症で尿酸値が8.0mg/dL以上、かつ合併症のあるケースでは、薬物療法が必要になる場合もあります。合併症がなくても尿酸値が9.0mg/dL以上ならやはり薬物療法を考慮します。
 尿酸値を下げる「尿酸降下薬」には、「尿酸排せつ促進薬」と「尿酸生成抑制薬」があります。「尿酸排せつ低下型」には前者を、「尿酸産生過剰型」には後者を使うのが基本です。