数字で見る痛風
痛風(第8章)

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痛風で尿酸値以外も一緒にチェックしたい健診項目

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痛風 (8章-1) こんなにいる? 国内の痛風患者数とその予備群

明治時代後期に最初の患者が診断され、1960年代には1,000人を超えたといわれる痛風患者。
その後はさらに患者数が増え続け、2013年には100万人を突破しました。
予備群である高尿酸血症の人は1,000万人ともいわれ、
30代を筆頭に若い世代にも広がっています。

“探せば見つかる時代”から“どこにでもいる時代”に

 人口の何%がその病気にかかっているのかを表すのが「有病率」です。痛風の有病率については詳細データが少ないものの、住民の健診データから状況を読み取ることができます。
 例えば、痛風に関する初の本格的な有病率の調査結果とされているのが、1961年に実施された大阪府豊中市・富田林市のデータです。このときの結果は、痛風有病率は0.04%で、男性に限ったとしても0.08%にとどまります。広島と長崎が1971年に実施した調査の場合、痛風有病率は0.05%、男性に限ると0.13%でした。
 富田林市の場合、住民5,019人に対して痛風だったのは男性2人、広島と長崎の場合、住民1万688人に対して痛風だったのは男性5人でした。このように1960年代や1970年代初期の痛風患者は、地域に何人かいる程度だったのです。
 その後も同様の調査が実施されていますが、実施年が最近になればなるほど、痛風有病率は高まる傾向が見られます。
 日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版」によれば、和歌山県で2003年に実施された調査では、痛風有病率は全体で0.5%、男性に限ると1.1%で、1%を超えています。なお、この調査で痛風患者としてカウントされた人はすべて30歳以上です。30歳以上の男性に限ると、痛風有病率は1.7%に引き上がったそうです。これは、約60人に1人が痛風であると置き換えられます。痛風が極めて珍しかった時代から、わずか50年で誰もがかかわりかねない病気に変わってきたことを改めて感じさせられます。

100万人を突破した痛風による通院患者

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、「痛風で通院中」の人は、1986年の時点で約25万4,000人でした。1965年は1,840人だったという報告が残っていることから、約20年間で通院患者はおよそ140倍に膨れ上がっています。その後、1989年には約28万9,000人となり、3年間で3万5,000人増加しています。国民生活基礎調査は3年ごとに実施されており、2007年の調査結果で減少した以外、その後は調査のたびに通院患者は増え続けています。
 なお、通院中の患者は2010年で95万7,000人、2013年には106万3,000人となり、100万人を突破しました。ただし、この調査では「痛風で通院中の人」のほかに「無症候性高尿酸血症で治療中の人」も含まれています。
 男性の年齢別の頻度はどうでしょう。2010年の国民生活基礎調査によると、60~69歳の割合が32.4%で最も高くなっています。次いで70~79歳(28.7%)、50~59歳(25.1%)の年代が続きます。30~39歳の割合は5.0%と、50代、60代、70代に比べて少ないものの、「20人に1人は痛風、あるいは無症候性高尿酸血症」と考えると、その割合は必ずしも低いとはいえないでしょう。

通院する痛風患者の年代別割合(男性の場合)

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査 2010年」

30代の30%以上が痛風予備群!?

 国民生活基礎調査では「高尿酸血症」の状況については調査していません。しかし、専門家による調査の中には、成人男性における高尿酸血症の割合は20%以上という結果があります。
 男性の年代別頻度を見ると、30~39歳が最も多く、その比率は30%以上となっています。次いで40~49歳、20~29歳の割合が高く、50代、60代はこれらの世代より頻度が低い結果になっています。全年代の平均は、男性の26.2%が高尿酸血症という結果です。
 尿酸値が高くなればなるほど痛風発作の危険性が増すことを考えると、高尿酸血症の人はまさに“痛風予備群”といえます。将来、すべての人が痛風発作の激痛に襲われないために尿酸値を意識し、健全な値を維持する努力を重ねることが必要でしょう。

痛風 (8章-2) 痛風の健康バロメーターとなる健診項目は?

高尿酸血症・痛風は、いくつかの病気の発症や進展と密接に関連することが分かっています。
そのため尿酸値が高い場合は、
関連する病気の指標となる検査項目に目を向けることも大切です。
ここでは尿酸値とともにチェックしたい項目を紹介します。

血清クレアチニン値(Cr)

 「血清クレアチニン値」は、高尿酸血症・痛風と深く関連して発症することが数々の調査研究で明らかになっている「腎障害」の指標です。実際は血清クレアチニン値に年齢、性別といった条件をかけ合わせて算出する「推算糸球体ろ過量(GFR)」の値に、高血圧などの合併症の有無を加味して、慢性腎臓病(CKD)の重症度を判定します。

GFRによるCKDの区分と値

 腎臓の働きを調べるための指標となる。尿酸が適切に排せつされているかを調べるときの目安になる。  GFRの計算式は、「GFR(ml/分/1.73㎡)=194×Cr-1.094×年齢-0.287(女性の場合、求めた値×0.739)」という複雑なものです。CKDに関する情報を発信するWebサイトの中には、必要な値を入力するだけでGFRを算出できるものがあります。自分のGFR値を把握したいときに活用するとよいでしょう。
 例えばGFR値が90を超えたらCKDの重症度はG1(正常または高値)、60~89だとG2(正常または軽度低下)、45~59でG3a(軽度から中等度低下)、30~44でG3b(中等度から高度低下)、15~29でG4(高度低下)、15を切るとG5(末期腎不全)と判定されます。GFR値が低いほど尿酸値は高くなります。この場合、腎障害が発症、もしくは悪化しやすいことも分かっています。

尿pH(水素イオン濃度)

 酸性かアルカリ性かを判別するpH値は、値が低くなるほど強い酸性に、値が高くなるほど強いアルカリ性を示します。尿の場合、酸性になると尿路結石ができやすくなったり、尿酸を排せつする効率が悪くなったりします。ちなみに尿pHの正常値は6.0前後で弱酸性です。ただし、尿pHは食事などの影響で変動しやすいため、基準値は5.0前後~7.5前後まで幅広く設定されているのが一般的です。

内臓脂肪の面積

 内臓脂肪の面積が100cm2を超えると「内臓脂肪型肥満」と判定されます。このように内臓脂肪が過剰に蓄積されると尿酸値が上昇してしまいます。
 内臓脂肪の面積を調べるには腹部CTなどの検査が必要ですが、へそ周りのウエストサイズを計測し、簡易的に内臓脂肪の面積を推測することもできます。ウエストサイズが男性の場合で85cm以上、女性の場合で90cm以上だと、内臓脂肪が100 cm2以上と推測されます。

BMI

 高尿酸血症・痛風の人は太り気味というケースが少なくありません。このとき「太り気味」の指標となるのがBMIです。BMIを求める計算式は「BMI=体重(kg)÷(身長(m))2」とシンプルです。算出した値が25以上だと「肥満」と判定されます。18.5以上25未満は正常値で、18.5未満は「やせ」と判定されます。値が「22」の場合、最も病気になりにくいといわれています。つまり、BMIが「22」となる体重が理想体重(標準体重)です。理想体重は「身長(m)2×22」で求めることができます。例えば身長が1m75cmの人の場合、「1.752×22」=67.375(kg)が理想体重です。

中性脂肪値・HDLコレステロール値

 中性脂肪値やHDLコレステロール値は、脂質異常症を診断する指標です。「悪玉」とされる「LDLコレステロール」や「中性脂肪(トリグリセリド)」が過剰になるか、「善玉」とされるHDLコレステロールが不足した状態は脂質異常症と判定されます。脂質異常症は、高尿酸血症・痛風患者に高い頻度で見られるメタボリックシンドロームの構成要素でもあります。この場合、異常と判定される目安は、トリグリセリド値が150mg/dL以上、かつ、またはHDLコレステロールが40mg/dL未満となります。

血圧

 高血圧はメタボリックシンドロームを構成する要素の1つです。最高血圧130mmHg以上、かつ、または最低血圧85mmHg以上で「血圧高値」と判定されます。尿酸値と血圧がともに高いと腎障害のリスクも高まります。

血糖値

 高血圧同様、血糖値もメタボリックシンドロームの構成要素の1つです。空腹時血糖が110mg/dL以上だと「高血糖」と判定されます。高血糖はさまざまな病気を引き起こし、高尿酸血症や痛風とは互いのリスクを高め合う関係とされています。内臓脂肪の蓄積や肥満にも密接に関係しています。