脂質異常症の原因
脂質異常症(第2章)

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脂質異常症の8割を占める原因とは?

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脂質異常症 (2章-1) どんな生活が脂質異常症を招く?

脂質異常症を引き起こす原因には、どんな生活習慣が影響しているのでしょうか。
ここでは脂質異常症に陥りやすい人の生活をチェックします。

主因は食べすぎと運動不足

 さまざまな種類がある脂質異常症のうち、およそ8割は「生活習慣病」といわれています。特に食事や運動といった生活習慣が密接に関係しています。
 一昔前の日本人の食生活は野菜、穀類、魚類が中心の和食で、繊維質が多くてカロリーはやや低めでした。しかし現代人の食事は欧米化して肉食が中心です。さらにバターやチーズ、生クリームなどといった動物性の油脂類が多く、高カロリー化しています。
 また、摂取したエネルギーを消化しきれない人が増えています。自動車で電車などの交通網、エスカレーターやエレベーターなどの設備によって利便性が増したことが、人々の運動不足を加速させています。

肥満は脂質異常症を加速させる

 摂取エネルギーが過多で、かつ運動不足になれば「肥満」になります。肥満とは体に余分な脂肪がついている状態をいいます。医学的には「Body Mass Index(BMI)」という尺度を使い、肥満かどうかを判定するのが一般的です。体重(kg)を身長(m)で割り、さらにもう一度、身長(m)で割った値を指標とします。  算出した値が18.5以上25未満なら「普通体重」、18.5未満なら「低体重(やせすぎ)」、25以上なら「肥満」となります。
 脂質異常症に直結するのは、肥満の中でも脂肪が内臓に過剰に蓄積した「内臓脂肪型肥満」です。医学的には内臓脂肪の面積が100cm2以上のときに診断されます。ただし、内臓脂肪面積は簡単に測れないため、ウエストのサイズが男性なら85cm以上、女性なら90cm以上の場合、内臓脂肪型肥満の疑いがあると判断します。
 肥満の人は、中性脂肪や糖質を多く含む高カロリーの食習慣が常態化しがちです。加えて、腹部の脂肪細胞が肥大化する「インスリン抵抗性」も見られるようになります。インスリン抵抗性とは、血液中のブドウ糖をコントロールするインスリンというホルモンの効きが悪くなった状態をいいます。インスリン抵抗性を示すようになると、血液中のブドウ糖の値(血糖値)が上昇するだけでなく、血液中で余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割を担うHDLコレステロールが低下します。肥満になると脂質異常症をさらに悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。

肥満が脂質異常症をさらに悪化させる

 肥満によってインスリン抵抗性が見られるようになると、血糖値の上昇やHDLコレステロールの低下を招く。その結果、LDLコレステロールが増えて脂質異常症が悪化する。  さらに、糖尿病や高血圧症などの複数の生活習慣病を併発する「メタボリックシンドローム」を引き起こしやすくなります。「たかが肥満」と軽く捉える人は少なくないでしょう。しかし、肥満を引き金にさまざまな病気のリスクが高まるのです。

飲酒や喫煙にも注意を

 アルコールの過剰摂取も脂質異常症の原因の1つです。特に多量のアルコールを常習的に飲む人の場合、重症の高中性脂肪血症になって急性膵炎(すいえん)発症の危険が高まります。喫煙も原因の1つです。タバコにはHDLコレステロールを減らす作用があることが知られています。
 なお、脂質異常症をはじめとする生活習慣病は互いに影響し合い、複数の病気を合併しやすくします。高血圧や糖尿病などの持病があると、心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こしやすくなるのです。

更年期は脂質異常症の好発時期

 脂質異常症の発生頻度は一般的に、50歳以前では男性の方が女性より高くなります。しかし50歳をすぎると女性の頻度が急増し、男性より高くなります。原因と1つと考えられているのが、女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンは月経のある間は活発に分泌されますが、50歳前後で閉経を迎えると分泌量が減少します。
 エストロゲンにはLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増やす働きがあります。そのため、閉経によってエストロゲンの分泌量が減少すると脂質異常症を起こしやすくなるのです。
 また更年期は、夫婦や親子の関係などといった生活環境が変わりやすいことからストレスを抱えやすい時期といえます。こうした変化がライフスタイルや食習慣に影響を与えることも脂質異常症の原因の1つと考えられます。
 なお、過食や運動不足を改めてコレステロールなどの数値を安定させれば、薬物療法が必要なくなるケースがあります。薬物療法が必要かどうかは医師に相談するとよいでしょう。

脂質異常症 (2章-2) 生活習慣とは関係ない脂質異常症

食事や運動習慣と密接に関連するといわれる脂質異常症。
しかし、脂質異常症に陥るケースは、必ずしも生活習慣が関係するとは限りません。
では具体的に、どんな場合に脂質異常症を患うのでしょうか。

遺伝子が原因の脂質異常症とは

 脂質異常症の原因の8割は、高カロリーな食事や運動不足といった生活習慣が関係しているといわれます。しかしその一方で、生活習慣に関係なく発症する脂質異常症があります。
その1つが遺伝子異常(原発性)という代謝異常によるものです。原発性の脂質異常症にはいくつかの種類がありますが、最も多いのが「家族性高コレステロール血症」です。家族性高コレステロール血症では、LDLコレステロール値が高くなります。肝臓で処理されるはずのLDLコレステロールが、肝臓で処理できなくなることで血液中にLDLコレステロールがたまってしまうのです。このような遺伝素因を持つ人は心臓の血管の動脈硬化が進みやすく、若い人でも心筋梗塞や狭心症を発症しやすくなります。
家族性高コレステロール血症の頻度は、軽症(ヘテロ)のケースが500人に1人以上、重症(ホモ)は100万人に1人以上といわれ、日本では25万人以上の患者がいると推定されます。命にかかわる心筋梗塞や狭心症を防ぐには、家族性高コレステロール血症を早期発見し、薬物療法などによってLDLコレステロール値を下げることが大切です。
しかし家族性高コレステロール血症は、若いころからLDLコレステロール値が高い(未治療のLDLコレステロール値が180mg/dL以上)という特徴以外、症状がほとんどありません。一部の人には「黄色腫」と呼ぶコレステロール沈着による黄色い小さな膨らみが、手の甲や膝、肘などに見られます。また、アキレス腱にコレステロールが沈着するアキレス腱黄色腫や皮膚結節性黄色腫が見られることもあります。これらの部位に黄色い塊が見られたら、医療機関をできるだけ早く受診することが大切です。また、親や兄弟、叔父、叔母、祖父母、子供などの血縁者のいずれかに家族性高コレステロール血症を発症した人がいる場合も、検査を早めに受けるようにします。

ほかの病気が原因で脂質異常症に

生活習慣とは関係なく、ほかの病気が原因で脂質異常症になることがあります。これらを「続発性(二次性)脂質異常症」と呼びます。脂質異常症を引き起こす病気には、肥満や糖尿病といった生活習慣病のほか、甲状腺機能低下症や原発性胆汁性肝硬変症、クッシング症候群、ネフローゼ症候群、閉塞(へいそく)性黄疸などがあります。

続発性(二次性)脂質異常症の原因となる主な病気

続発性(二次性)脂質異常症の治療は原因疾患の治療が重要で、かつ優先されます。原因疾患をうまくコントロールすると、脂質異常症も改善できることが少なくありません。

人工透析や妊娠中は脂質異常症になりやすい

 人工透析や妊娠といった要因が中性脂肪や総コレステロールの値を高くすることもあります。特に妊娠中は胎児の発育にブドウ糖が多く使われるため、エネルギー源となる脂質を体内にため込もうとします。その結果、コレステロール値が上昇するといわれています。ただし、出産後は脂質異常症が改善することが多いため、特別な治療をせずに様子を見る場合がほとんどです。

薬の副作用が脂質異常症を招く

 脂質異常症以外の病気で服用する薬の副作用によって脂質異常症になることがあります。特に高齢者によく使われる降圧剤(チアジド系利尿剤・β遮断薬)の副作用で高中性脂肪血症になることが多く、使用時には注意が必要です。
そのほか、ステロイドホルモンを投与するとトリグリセリド値やコレステロール値が上昇することもよく知られています。経口避妊薬のエストロゲンの投与でも高脂血症をきたすことがあり、免疫抑制剤、角化症治療薬、向精神薬なども原因になります。

脂質異常症 (2章-3) 女性は脂質コントロールが男性より難しい

女性は50歳あたりから脂質コントロールが難しくなるといわれています。
そのため、コレステロール値に留意し、食生活を改善するなどして
脂質異常症にならないよう注意することが大切です。

脂質代謝には男女差がある

 脂質の代謝は男性と女性で異なります。女性の総コレステロール値やLDLコレステロール値は、50歳以前は男性より低く抑えられています。しかし50歳以降は急上昇し、男性より高くなります。女性の約半数が50歳をすぎると、総コレステロール値は基準値の上限である220mg/Hgを超えます。

50歳前後を境に総コレステロール値とLDLコレステロール値が変化

 50歳をすぎた女性の約半数が、総コレステロール値は基準値(220mg/Hg)を上回る


 一方、HDLコレステロール値は、50歳以前なら女性は高値を保持します。しかし50歳をすぎるとHDLコレステロール値は低下し、男女差はなくなります。中性脂肪の値も、50歳以前は男性の方が女性より圧倒的に高いものの、女性の場合、30歳あたりから徐々に上昇し、60代で男女差がなくなります。

閉経後は動脈硬化性疾患のリスクが上昇

 なぜ女性は50歳を境に脂質の状況が大きく変化するのでしょうか。その最大の要因が「閉経」です。月経がある間、卵巣から定期的に分泌される女性ホルモンの「エストロゲン」によって、血管のしなやかさが保たれます。脂質や糖の代謝を調整したり、内臓脂肪の燃焼を促進したりする働きもあります。閉経まではエストロゲンが保護的に働き、LDLコレステロールや中性脂肪の値を抑えているのです。その結果、メタボリックシンドロームや脂質異常症、糖尿病、高血圧症、高尿酸血症、骨粗しょう症などもかかりにくくなっています。
 ところが閉経を迎えると、LDLコレステロールや中性脂肪の値を抑えられなくなり、値が一気に上昇します。日本人女性の閉経の平均年齢は50歳前後であることから、50歳を境に脂質の状況が変わるのです。
 脂質異常症は動脈硬化のリスクの1つですが、閉経前の女性はエストロゲンのおかげで動脈硬化を招くリスクが低いことが明らかになっています。アメリカで実施された大規模臨床研究では、動脈硬化性疾患の発症は男女とも年を取るにつれて増加するものの、50歳以下の男性は女性の3~4倍もリスクが高くなることを発表しています。しかし50歳以降になると、動脈硬化性疾患の発症リスクは女性に急増します。

更年期以降の脂質コントロールは神経質になりすぎない

 閉経を迎えたら、脂質異常症に対してどの程度注意を払えばよいのでしょうか。閉経後に脂質異常症になりやすいことを把握しつつ、肥満にならないための食事や運動などを積極的に取り入れることが大切です。しかし、高血圧や糖尿病などのほかの要因がない場合、過度に神経質になる必要はありません。病院では薬を処方するケースもありますが、薬を必要としないケースも少なくありません。
更年期に入ったら、カロリーや脂肪の取りすぎに注意します。動物性脂肪よりも植物性脂肪や魚類性の脂肪を取るように心がけましょう。特におすすめしたいのは大豆製品です。大豆の胚芽に含まれるフラボノイドの一種「イソフラボン」は、体内で女性ホルモンとよく似た働きをするため「天然のエストロゲン」といわれています。抗酸化作用があり、血管の老化を防ぐだけでなく、食物繊維を豊富に含み、腸内でコレステロールの吸収を妨げる働きをするなど、更年期の女性の役に立つ効果を多く見込めます。納豆や豆腐、味噌などの大豆を原料とする加工食品に多く含まれているので、積極的に取るようにしてください。