脂質異常症の治療
脂質異常症(第5章)

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脂質異常症と言われたら?見直すべき生活習慣

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脂質異常症 (5章-1) 脂質異常症を抑えるために考える食事プランは?

脂質異常症の場合、食生活の改善が欠かせません。毎日の食事の選び方はもちろん、
食べ方の見直しなども大切です。
また、自己流の誤った食事療法は症状を悪化させる危険性があるので、
気になることがあったら医師や栄養士に相談しましょう。

動物性脂肪を控えて植物性油を取る

 動物性脂肪(飽和脂肪酸)の多い食品やコレステロールを取りすぎると、LDLコレステロール値が上昇します。脂質異常症においては、動物性脂肪およびコレステロールの摂取を制限することが必要です。
 コレステロールは鶏卵、たらこ、いくらなどの魚卵、レバーなどの内臓、バターや生クリーム、動物性脂肪は肉の脂身に多く含まれています。これらを使った飲食物は控えるようにしましょう。
 油を使うときは、バターやラードなどの動物性脂肪は避け、オリーブオイル、なたね油、ゴマ油、大豆油などの植物性油脂を使うようにしましょう。またサバ、イワシ、アジなどの青魚に多く含まれるDHAを取り続けると、中性脂肪値が低下したという報告が複数あります。 油の摂取を控えるとき、どうしても炒め物や揚げ物ばかり注目しがちですが、菓子やパン、カレーのルーなどの加工食品にも多くの油が使用されていることを忘れてはいけません。これらを食べるときは、ほかの食事で油の摂取量を調整するなどの対策が必要です。

脂質異常症を予防する食事のポイント

脂質異常症と分かったら、どんな食生活をすればよい?

 脂質異常症の場合、1日3食のバランスよい食事が基本です。食事回数を減らすと、次の食事のときについ食べすぎてカロリー過多なってしまいます。洋食や中華料理などの油を多く使用するメニューより、焼き物や煮物を中心とした和食中心の献立を心がけるとよいでしょう。
 外食時は、定食のように主菜と副菜をそろえたメニューを選ぶと、栄養のバランスを取りやすくなります。丼物や麺類などの一品料理は、炭水化物や脂質が多くカロリー過剰になる上に、野菜が不足しがちです。これらの一品料理を食べるときは、小鉢やサラダなどの野菜料理を追加したり、油っぽい食材や部位を残したりするようにしましょう。また、サラダにかけるドレッシングやマヨネーズには油が多く使われているので、ノンオイルタイプのドレッシングを使うとよいでしょう。
 脂質異常症の場合、食物繊維は特に意識して取りたい栄養素です。食物繊維は野菜、海藻、キノコ類、コンニャクなどに多く含まれ、低カロリーでもカサが多いため、食後に満腹感をえられます。さらに食物繊維は、体内で余分なコレステロールを吸収して体外に排出する働きがあるので、血中のコレステロール値を下げる効果を見込めます。日本人は、毎日の食事で食物繊維が不足していることが明らかになっています。目安として、今までの食事に、おひたしや煮物などの野菜料理を1品追加しましょう。

食事を食べる時間や食べ方を見直そう

 脂質異常症の場合、飲食物の選び方は当然重要ですが、食べる時間や食べ方の見直しも不可欠です。  食事は、よく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。よく噛まずに飲み込むように食べると、脳が満腹と感じるまで大量に食べてしまうため、カロリー過剰になってしまいます。また、TVやスマホなどを見ながらの「ながら食い」は無意識に食べ物を口に運んでしまうため、食べすぎの一因となります。食事のときは、目の前の食べ物に集中し、よく味わって食べましょう。
 また寝る前に食べると、摂取したカロリーを十分消費できずに体内に蓄積されてしまいます。夕食は軽めにして、就寝前2時間はカロリーのある飲食物を控えましょう。残業などで夕食の時間が遅くなる場合は、夜6~7時代におにぎりなどの軽食を取り、帰宅後に鍋料理や蒸し料理、野菜スープなどの油を控えたメニューで野菜やタンパク質を補うとよいでしょう。
 食事療法は、生涯にわたって続けるケースが少なくありません。このとき、ただ続けるだけでなく、定期的に通院して血液中の脂質値を確認することも大切です。「食事に気をつけているから大丈夫」と思っても、自己流の誤った食事により病気が進行していることもあります。食事療法について、定期的に医師や栄養士に相談するとよいでしょう。

脂質異常症 (5章-2) これから脂質異常症の治療を始めるにあたって

脂質異常症は、動脈硬化の主な要因といわれています。
病気の進行を抑制し、動脈硬化を防ぐには、
生涯にわたり適切な治療を続けることが重要です。
ではこれから治療を始めるときは、どんなことに注意をすればよいでしょうか。

標準体重を目標としたコントロールが重要

 脂質異常症の場合、まずは食生活の改善が重要になります。食事の基本はカロリーを取りすぎないことです。特に肥満の場合は摂取カロリーを減らし、標準体重に近づけることが大切です。肥満は動脈硬化の危険リスクですし、体重の減量はLDLコレステロール値の低下にもつながります。
 まずは、治療開始前に自分の標準体重を把握しましょう。標準体重は、通常以下の数式で求められます。  例えば、身長が170cmの人の標準体重は、「1.7×1.7×22=63.58kg」と簡単に算出することができます。また、肥満度の確認には、BMI(Body Mass Index)という、世界保健機関(WHO)が定めた肥満判定の国際基準を用います。以下の数式でBMIを求め、自分が肥満に該当する場合は、減量を始めましょう。 BMI=体重(kg)÷≪身長(m)×身長(m)≫

肥満の判定基準

出典:日本肥満学会 判定基準  なお、脂質異常症の場合、標準体重(kg)×25~30kcalが、1日に必要なエネルギーの目安です。現在は適正体重を維持している人でも、カロリーを取りすぎないような食事プランを作ることが望ましいとされています。これは、摂取カロリーが過剰になると、肝臓で中性脂肪やコレステロールの合成が促されてしまうからです。また、コレステロールは基準範囲内でも、中性脂肪の値が高い場合は摂取カロリー制限が必要です。
 ただし、本人の健康状態や合併症の有無などにより摂取カロリーの目安が異なることもあるため、詳しくは医師や栄養士に相談しましょう。

脂質異常症といわれたら、まずは生活習慣を見直す

 脂質異常症の治療には、食事療法と運動療法を用います。数値が改善しない場合、薬物療法も行います。ただし、数値を改善するためには、この3つの療法以外にも生活習慣の見直しが必要です。
 まずは喫煙者なら禁煙が不可欠です。喫煙は動脈硬化だけでなく、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを上昇させることが明らかになっています。さらに脂質異常症患者が糖尿病を発症すると、心血管疾患の発症リスクが上昇し、死亡リスクも高くなることが分かっています。
 また、脂質異常症と分かったら飲酒を控えましょう。アルコール飲料自体が高カロリーである上、ナッツ類、揚げ物、チーズなどの高カロリーのつまみが多いため、ついカロリー過剰になってしまいます。
 アルコールは1日20~25g以下が適量とされています。ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、ワインならグラス2杯(200ml)に相当します。ただし、病気の状態や合併症によっては禁酒が必要な場合もあるので、詳しくは担当医に相談しましょう。

適度な運動は症状改善とストレス解消の一石二鳥

 脂質異常症において運動療法は欠かせない要素です。適度な運動は、脂質異常症の改善に効果があります。運動は、ウォーキングや自転車などの有酸素運動がよいとされています。有酸素運動を続けると中性脂肪が低下し、HDLコレステロールが上昇します。また適度な運動は気分転換になりストレス解消にもつながります。
 有酸素運動を行うときは、心拍数が100~120回/分を目安として、ややきついと感じる程度の状態を維持しながら、少なくとも15分以上続けましょう。運動の時間が取れない場合は、短時間でもよいので複数回運動をするようにします。決まった時間に運動する代わりに、1駅分歩いたり、エレベーターやエスカレーターを使わず階段を利用したりするなどの方法もあります。
 ただし、過去に狭心症や心筋梗塞などの病歴がある場合は、運動を開始する前に必ず医師に運動の可否や運動量などを相談してください。特に早朝や食後すぐに運動を行うと、狭心症の発作を引き起こす危険性があります。

脂質異常症 (5章-3) 合併症をかかえる脂質異常症患者は要注意

脂質異常症の治療が必要である主な理由は、
動脈硬化が進行し、心臓疾患や脳疾患などの重症化しやすい疾患を引き起こすからです。
さらに脂質異常症は、さまざまな生活習慣病を併発すると
動脈硬化のリスクが上昇することが分かっています。
いずれも身近な病気ばかりですが、これらの病気には特に注意しましょう。

動脈硬化への進展抑制が必要な理由

 脂質異常症は、動脈硬化の主な要因の1つであることが明らかになっています。動脈硬化とは、一般的にコレステロールなどの脂肪による粥状の塊(アテローム)が動脈の内膜にできた状態を指します。
 アテロームは、血管が狭くなったり血栓を作ったりする原因となります。さらに進行すると、狭心症、心筋梗塞などの心疾患や脳梗塞などの脳疾患、大動脈瘤(りゅう)などの病気にもつながります。これらの病気は、重症化しやすく死に至ることも珍しくありません。

血管が傷つくことで重大な病気を併発

 アテロームは血管を狭くしたり血栓を作りやすくしたりし、血管内を詰まらせる原因となる。こうして動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳卒中、大動脈瘤などの命にかかわる病気を発症するリスクが高まる。
 動脈硬化は心疾患や脳疾患などの重大な病気の引き金になることもあります。脂質異常症は動脈硬化の要因であるため、脂質異常症と分かったときから適切な治療が必要になるのです。
 早めに治療を始めて脂質異常症の進行を抑えれば、動脈硬化の発症を防ぐことが十分可能です。脂質異常症は自覚症状が現れにくい一方で、症状が現れた時点ではすでに病気が進行しているという証しなのです。

脂質異常症以外の病気にも注意

 動脈硬化の発症リスクを高める病気は脂質異常症だけでありません。高血圧、糖尿病などの生活習慣病も、動脈硬化の発症リスクを高めることが分かっています。
高血圧とは、血圧が高い状態で続いていることです。血圧とは、血管に血液が流れるときにかかる圧力のことですが、血圧が高くなると血管に負荷がかかって傷つきやすくなるため、動脈硬化が起こりやすくなります。
 糖尿病とは、血液中の糖質の割合が高くなった高血糖状態が続く病気です。糖尿病になると血糖によって血管壁が傷つけられるため、動脈硬化のリスクが高くなります。糖尿病と脂質異常症を併発すると、心血管疾患のリスクがさらに高まることも明らかになっています。
 これらの病気は、併発するほど動脈硬化のリスクが高くなることが明らかになっています。脂質異常症によって誘発されるだけでなく、脂質異常症を誘発する病気であることも忘れないようにしましょう。動脈硬化の予防には、脂質異常症、喫煙、高血圧、糖尿病、内臓脂肪の管理を早期から包括的に行うことが重要です。
なお、肥満は病気ではないものの高中性脂肪血症の主たる要因になります。内臓脂肪が過剰に蓄積したメタボリックシンドロームになると、動脈硬化がさらに進行します。肥満に該当する人は減量を心がけることが大切です。