入院・医療費
脂質異常症(第6章)

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知っておきたい医療費控除、脂質異常症の治療法

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脂質異常症 (6章-1) 脂質異常症関連の疾患で入院する場合のポイント

脂質異常症は通院治療でコントロールできる病気です。
ただし、合併症などを発症すると入院治療が必要になることがあります。
入院から社会復帰まで時間のかかるケースが珍しくありません。
もし、合併症を理由に入院するとどのぐらいの日数を要するのでしょうか。

脂質異常症のみの入院治療はまれ

 厚生労働省の調査によると平成26年10月時点、高脂血症を理由に入院している患者数は推定300人と報告されています。なお、高脂血症と脂質異常症は、定義は異なるものの、ここではほぼ同義と捉えて問題ありません。高脂血症以外の病気を合併しない場合、入院することはまれです。脂質異常症のみを治療する場合、大半が通院治療となります。
 例外として、 生まれつきLDLコレステロール値が高い家族性高コレステロール血症の場合、LDLアフェレーシスのために入院治療を行うケースがあります。LDLアフェレーシスとは血液を体外へ出して血球成分と血漿(けっしょう)成分を分離した後、血漿成分に付着したLDLコレステロールを取り除いて再び体内に戻す治療法です。ただし、加齢などにより脂質異常症を発症した場合は適応外となります。
 脂質異常症の薬物療法で用いられる薬剤は、多くが飲み薬である経口薬です。しかし最近は新しい治療薬が登場しています。2016年に承認された高コレステロール血症治療薬のエボロクマブ製剤(遺伝子組み換え)やアリロクマブ製剤(遺伝子組み換え)は、注射タイプの治療薬です。これらは当初、入院治療時に用いるという使用条件がありましたが、2017年5月から患者による自己注射が認められ、現在は通院治療でも使用できます。

実際の入院期間はどのぐらい?

 脂質異常症だけ発症する場合の入院はまれですが、合併症を発症している場合は入院治療を検討します。脂質異常症によって動脈硬化が進行すると、脳血管疾患や心疾患、慢性腎臓病(CKD)による腎不全などを招くことがあります。特に狭心症、心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞などの脳血管疾患などを発症した場合、通常入院治療が必要です。では、これらの病気を発症すると入院期間はどのぐらいになるのでしょうか。
 厚生労働省が発表した平成26年患者調査によると、2014年10月時点の退院患者の平均在院日数は、心疾患(高血圧性のものを除く)が20.3日、脳血管疾患が89.5日、糸球体疾患、腎尿細管間質性疾患および腎不全が37.7日でした。退院後も通院が必要なことから、仕事や家事に本格復帰するまでにはさらに日数がかかります。

病気別の平均在院日数

出典:厚生労働省「平成26年患者調査」

心疾患や脳血管疾患などで亡くなる人はどのぐらい?

 心疾患や脳疾患は、日本人の主な死亡原因となっています。日本人の死亡原因は2015年時点、悪性新生物(がん)が第1位ですが、心疾患は第2位、脳血管疾患は第4位、腎不全が第7位、大動脈瘤(りゅう)および解離が第9位となっています(平成27年人口動態統計(確定数)の概況、厚生労働省)。同調査による各疾患別の死亡者数は、心疾患が19万6,113人、脳血管疾患が11万1,973人、腎不全が2万4,560人、大動脈瘤および解離が1万6,887人でした。また、平成27年の死亡総数に占める割合を見ると、心疾患が15.2%、脳血管疾患が8.7%、腎不全が1.9%、大動脈瘤および解離が1.3%でした。
 脂質異常症は自覚症状がほとんどありませんが、脂質異常症に関連のある疾患で多くの人が亡くなっているのが現状です。前述の疾患について、すべての入院患者や死亡者が、必ずしも脂質異常症を発症しているとは限りません。しかし、脂質異常症はこうした現状の一因となっています。

脂質異常症 (6章-2) 脂質異常症になると医療費はどのぐらいかかる?

脂質異常症と診断されるときに気になるのが医療費です。
治療せずに放置して合併症や動脈硬化を起こして重症化すれば、
治療費はもちろん治療日数も多くかかってしまいます。
脂質異常症の治療費は、進行を予防するための投資でもあるのです。

病院の規模で費用は異なる?

 医療機関を受診するとき、最初から大規模な病院を訪れる人は少なくありません。しかし大病院を受診した際、会計時に高額な代金を請求されて驚く人は多いようです。 これは、大病院には特別料金という制度があるためです。大病院は、主に重病や深刻なけがのために、高度かつ専門的な医療サービスを必要とする患者を受け入れる施設で、日常的には、身近な中小病院や診療所を促そうという国の方針により、特別料金制度が導入されています。

 紹介状なしに大病院(特定機能病院または一般病床500床以上の地域医療支援病院)を受診すると、緊急時ややむをえない場合を除いて初診時の請求額は5,000円以上です。ほかの病院や診療所への紹介を受けたのに同じ大病院を再受診した場合は2,500円以上となります。また、一般病床200~500床未満の病院でも受診時の特別料金を設定しているケースがあります。なお、特別料金は健康保険適用外となるため、保険診療で受診する場合も全額自己負担となります。
 医療機関を受診するとき「大病院の方がよい治療を受けられるのでは?」と考える人は少なくないようです。しかし脂質異常症の治療には、多数の患者にとって最も適正な治療法となる診療ガイドラインがあります。ほとんどの医療機関が診療ガイドラインに基づいて治療するため、医療機関の規模に関係なく質の高い治療を受けられます。
 健診などで異常が見られたときは、まずは近くのかかりつけ医を受診しましょう。小規模な医療機関であったとしても地域医療の中核を担う病院や特定機能病院と連携するため、医師がより専門的な治療が必要と判断した場合は、大規模な病院を紹介してもらえます。

初診のときはどのぐらいかかる?

 初診のときは、初診料、検査料などの費用がかかります。患者の自己負担の割合が3割なら初診料は846円、検査料は検査項目の種類や数によって異なりますが1,500~2,000円程度が目安です。金額が気になるときは事前に医療機関に問い合わせてみましょう。
 薬剤が処方されたときは処方せん料、薬剤料、調剤料、指導料などがかかります。薬剤料は国が定めた公定価格をもとに、処方された種類と数によって算出します。脂質異常症に使われる主な薬の金額は以下の通りです。なお、自己負担額が3割の場合、窓口で合計金額の3割を支払います。
 脂質異常症のほかに病気がある場合、該当する病気の治療薬も合わせて処方されることがあります。この場合は、各薬剤の金額が加算されるため、支払金額が異なります。

主な脂質異常症治療薬と薬価一覧

 薬価は国が金額を定めているが、薬剤の形状、単位、メーカー、先発品か後発品の違いなどで異なる。上記は2016年4月時点の金額。今後、薬価改定や診療報酬改定により、金額が変わる場合がある。

2回目以降の医療費は?

 2回目以降に受診するときは、再診料と外来管理加算の合計369円と薬剤料などがかかります。このほか、医師の判断により血液検査などの検査を行う場合は、検査料などが加算されます。
 また、脂質異常症などの生活習慣病を主病とする場合、医師が生活習慣に関して治療管理や指導すると、最大で月1回の生活習慣病管理料が加算されます。生活習慣病管理料は主病や医療機関の規模により異なりますが、脂質異常症では1,950~3,525円です。

脂質異常症 (6章-3) 知っておきたい医療費控除の知識

病気を治すためには相応の治療費がかかるのはやむをえないことですが、
各種制度を活用すれば、経済的な負担を減らせます。
ここでは主な制度のうち、医療費控除について取り上げます。

スポーツジムの利用料金が控除対象になる

 脂質異常症などの生活習慣病患者は、医師の指導に基づいた運動療法を取り入れるとき、スポーツジムなどの指定運動療法施設を利用すると、一定の条件を満たせば施設利用料金が医療費控除の対象となります。

運動施設の利用料を控除するには

 指定の運動療法施設は、一定の条件を満たせば利用料が控除される。そのためには「運動療法実施証明書」と施設の利用料を記載した「領収証」が必要となる。

 施設の認定条件には、健康運動実践指導者の配置、運動療法の料金設定(1回あたり5,000円以内)などがあります。そのため、設備が整った環境で専門知識のある指導員から指導を受けられるというメリットがあります。
 医療費控除の条件には、医師から運動療法処方せんを受け取り、指定運動療法施設で運動療法を行うことが必要です。指定運動療法施設で運動療法を始める前には、必ず医師に相談しましょう。また、医療費控除を希望する場合は、確定申告時に領収証や実施証明書の提出が必要です。職場での年末調整だけでは所得税が還付されないので注意しましょう。

多額の医療費を払ったら医療費控除を

 運動療法を含め脂質異常症の治療費は、医療費控除の対象になります。医療費控除とは、世帯主や同居家族などが多額の医療費を払った場合、一定の手続きをすると所得控除され、税金の一部が戻る制度です。
 医療費控除の対象となるのは、前年1月1日から12月31日までに支払った医療費です。本人や同居家族などの医療費から、各種保険の補填金額を引いた額が10万円以上(前年所得が200万円未満の場合は、前年所得の課税標準の5%以上)の場合、医療費控除の対象になります。
 なお、各種保険とは入院、通院給付を目的とした生命保険や傷害保険から入る保険金や健康保険組合からの給付金などを指します。また、還付金は年収や家族構成などにより異なります。詳細については税務署にご相談ください。

通院時の交通費なども控除の対象に

 医療費控除を申告するときには領収証が必要です。脂質異常症以外の病気で医療機関を受診したときも領収証をなくさず保存しておきましょう。ただし、健診料金や美容整形などの費用は控除の対象外です。
 通院時に電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、交通費も控除の対象となります。電車やバスなどは領収証が発行されないため、日付、交通会社名、乗車区間、運賃、目的地(医療機関)をメモし、領収証の代わりに添付します。タクシーは必要であると認められた場合のみ、医療費控除の対象となります。ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場料金などは対象外です。
 また、ドラッグストアで購入した医薬品も控除の対象です。ドラッグストアにはサプリメントや日用雑貨など控除対象外の品も販売しているため、医薬品を購入したときのレシートに医薬品の空き箱を添付しておくとよいでしょう。ただし、ビタミン剤など病気予防や健康増進のために用いる医薬品の購入代金は、医療費と認められません。
 申告時は同居する家族の医療費も忘れずに申請しましょう。大人用紙おむつを使用する人がいる場合、傷病によりおおむね6カ月以上にわたり寝たきり状態にあると認められ、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば控除の対象になります。ただし、おむつ購入時に領収証をもらうときは、「使用者の氏名が書かれた領収証」が必要です。購入した人の氏名ではないため注意しましょう。なお、医療費控除を含め確定申告に関して不明点は、最寄りの税務署にご相談ください。