脂質異常症の歴史
脂質異常症(第7章)

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少なくてもダメ?脂質異常症と関係が深いコレステロールとは?

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脂質異常症 (7章-1) 日本における脂質異常症の歴史

脂質異常症は国内においてどのような歴史をたどってきたのでしょうか。
脂質異常症の患者の推移とともに、脂質異常症の歴史をひもとき、
病気への認識を深めましょう。

脂質異常症と高脂血症の違いは?

 脂質異常症はLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値が、それぞれ一定基準を上回る(もしくは下回る)条件を満たしたときに診断されます。その一方で、LDLコレステロールや中性脂肪の値が高い状態は高脂血症という病名が使われることもあります。高脂血症の場合、HDLコレステロールの値が低いかどうかを必ずしも問いません。「HDLコレステロールの値が40mg/dL未満」という条件を満たすなら、高脂血症ではなく脂質異常症と診断されるのです。
 脂質異常症の定義は、LDLコレステロールが140mg/dL以上の「高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロールが40mg/dL未満の「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が150mg/dL以上の「高中性脂肪血症」のいずれかとなっています。なお、総コレステロール値は、診断基準から外され、参考値としての記載にとどまっています。

脂質異常症と診断される場合の基準

 脂質異常症はLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値がいずれか1つでも条件を満たすことで診断される。

脂質異常症の患者数の推移

 日本で脂質異常症患者が増加したのは、食事の欧米化や生活習慣の変化などが影響していると考えられています。肉や乳製品の摂取量が増え動物性脂肪の多い食事が広がり、車社会となったことによる歩行運動時間の減少(運動不足)などが主な要因とされています。では、脂質異常症患者の数はどのくらい変化しているのでしょうか。
 2005~2015年の血清総コレステロール量が高い人の割合を見てみます。厚生労働省の平成27年国民健康栄養国民健康・栄養調査結果の概要によると、2015年時点で血清総コレステロールが240mg/dL以上の割合は、男性9.8%、女性17.8%でした。また2005~2015年の10 年間の推移をみたところ、男女とも有意な変化はみられませんでした。
 現在、脂質異常症の診断基準に、総コレステロール量は含まれていないため、この調査はあくまでも参考にすぎません。しかしここ10年で血中の脂質量が多い人の割合は大きく変化していないといえるでしょう。

血液中のコレステロールは適正値を維持

 コレステロールが過剰になると、脂質異常症を含めて生活習慣病の発症リスクが高まりますが、逆に少なすぎても悪影響をおよぼすことがあります。
 先天性疾患の影響で、生まれつきHDLコレステロール値が低い場合もありますが、肝硬変、脂肪肝、慢性腎不全、骨髄腫、糖尿病などの影響により、低HDLコレステロールとなることもあります。
 また、LDLコレステロールや総コレステロールが低すぎる場合、栄養障害、肝機能障害、甲状腺機能亢進(こうしん)症などの疑いがあります。HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロールが基準値より低い場合も、精密検査などで原因を明らかにし、必要に応じて適切な治療を行うことが重要です。コレステロールは高くなりすぎないことは当然ですが、低くなりすぎないように毎日の生活で健康管理することが大切です。

コレステロールの異常によって起こりうる主なリスク

 各コレステロールの値は上昇しすぎても下降しすぎてもよくない。適正値でない場合、さまざまな病気を発症するリスクが高まる。それぞれの数値は適正な範囲内にとどめておくのが望ましい。

脂質異常症 (7章-2) 脂質異常とコレステロールは深い関係

脂質異常症と密接に関係するコレステロール。
コレステロールが過剰になると、脂質異常症をはじめ生活習慣病のリスクが高くなります。
ではそもそも、コレステロールはどのような経緯で認知され、
病気との因果関係が疑われるようになったのでしょうか。

胆石の中から発見されたコレステロール

 コレステロールのルーツをひもとくと、1785年に人の胆石の中で発見されたのが最初といわれています。その後、フランスの学者が胆汁と固形物を示すギリシャ語を組み合わせて「コレステリン」と名付けました。なお、英語では「コレステロール」と呼びます。
 その後、発見されたコレステロールを使った実験や研究が繰り返され、コレステロールを含む食事を与え続けた結果、動脈硬化を招くという因果関係が研究結果として発表されています。

体の維持に欠かせない役割を持つコレステロール

 そもそもコレステロールは、体内でどんな役目を果たしているのでしょうか。コレステロールは、脂質の一種であるとともに、普段私たちの体内にも存在している成分で、成人の体内には通常100~150gのコレステロールが存在しているとされています。
 私たちの体は約60兆個の細胞が存在し、すべての細胞は細胞壁という膜で覆われています。細胞壁は細胞内の物質の流出を防ぐ一方、外から必要な成分をやり取りする役目を担っています。この細胞膜を構成している成分の1つがコレステロールです。
コレステロールは血液中に多く存在すると思われがちですが、実際には体内にあるコレステロールのうち約1/4~1/3が脳に、1/3強が神経系に集中しています。これは、脳に500億~1兆個もの神経細胞があることが影響しています。
 そのため、コレステロールは脳からの情報を全身に伝えるために欠かせない存在です。私たちの脳から命令が出されると、体内の神経線維を介して全身に伝わります。その際、命令が正確に伝達されるように、神経線維の周りは保護材のようなもので覆われています。この保護材を構成している成分もコレステロールです。 また、ホルモンの原料としても欠かせません。私たちの体内では、コレステロールをもとに、副腎皮質、精巣、卵巣、胎盤などでホルモンを産生します。

コレステロールの主な役割

 コレステロールは体にとってよくないものと思われがちだが、人が生命活動を営む上で欠かせない役割を果たしている。

 左右の腎臓の上にある副腎では、コルチゾールとアルドステロンというホルモンが作られています。このコルチゾールは生命維持に不可欠なホルモンです。糖、タンパク質、脂質などの代謝に関与し、ストレスから体を守る働きも担っています。もう一方のアルドステロンは、塩分、カリウム、水分のバランスを保つためのホルモンです。
 精巣ではテストステロンという男性ホルモンが作られています。テストステロンは、筋肉や骨の形成を促し、男性機能に大きく関与する重要なホルモンです。
 卵巣や胎盤ではエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンが作られています。2種類の女性ホルモンは、バランスを取りながら女性の体と心に働きかけているため、どちらか一方が不足するだけでも体に悪影響が現れることがあります。
 また、コレステロールは摂取した脂肪の消化にも大きくかかわっています。私たちが飲食物から摂取した脂肪を消化するには、肝臓から分泌する胆汁が必要です。胆汁には胆汁酸という成分が含まれ、コレステロールは胆汁酸の原料となります。胆汁酸は、脂肪を水に溶けやすくしたり、脂肪分解酵素であるリパーゼを活性化したりし、脂肪の消化や吸収を促す働きもあります。

役割の異なる2種類のコレステロール

 コレステロールを研究する過程で、体にとって有益なものと、そうでないコレステロールが存在することが明らかになっていきます。それが「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」です。具体的に、それぞれにどのような違いあるのでしょうか。
 LDLコレステロールは、肝臓から血液を介してコレステロールを全身に運ぶ役割をしています。しかし、LDLコレステロールが過剰な状態になると、血管壁に入り込み、粥腫(アテローム)という塊を生成します。この粥腫は動脈硬化の要因となります。これに対し、HDLコレステロールは、血管壁の余分なコレステロールを肝臓へ運ぶ役割を持っています。動脈硬化の進行を抑制する働きも担っています。