高血圧の基礎知識
高血圧(第1章)

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まずは血圧のメカニズムを知ろう~高血圧を知る前に~

高血圧 (1章-1) そもそも「血圧」とは?

「血圧」という言葉をよく聞くものの、
実は詳しく知らないという人は少なくないのではないでしょうか。
血圧とは体のどんな状態を指し、なぜ測定する必要があるのでしょうか。
ここでは血圧について基本から解説します。

血圧は「血液による血管壁への圧力」

 人の体の中には、血管がすみずみまで張りめぐらされています。血管の中には血液が流れ、酸素や栄養素、ホルモンなどの体を正常に働かせるために必要な物質を必要な場所に運んでいます。酸素や栄養素を全身に運ぶと同時に、二酸化炭素や老廃物を回収する役割も担っています。
 この血液を全身へ送り出しているのが心臓です。頭の先から手足の指先に至るまで、体のすみずみに血液を送り届けています。心臓が日々休まず働いているから、血液は滞らないのです。
 心臓は1日に約10万回鼓動するといわれています。心臓がギュッと縮むと、肺から届いた大量の酸素を含む血液が、大動脈という太い血管へ送り出されます。血液は大動脈から動脈、細動脈、毛細血管と、体の末端へ進むにつれて細くなる血管を通り、全身をめぐります。その後、細静脈、小静脈、大静脈を通って心臓へ戻り、再び肺へと送られます。このとき肺で二酸化炭素と酸素を交換し、心臓へ戻った血液は再び大動脈へと送られるのです。

血液が全身を循環するイメージ図

 酸素を含んだ血液は、心臓がポンプの役割を果たすことで全身をめぐる。全身から戻ってきた血液は二酸化炭素を多く含むものの、肺を経由することで再び酸素を含むようになる。

 では、「血液の圧力」を示す血圧は、どこの圧力を指しているのでしょうか。心臓から大動脈へ血液を送り出したとき、血管の内側の壁(血管壁)に加わる圧力を「血圧」と呼びます。ただし、血圧は動脈や毛細血管などの血管の位置によって差異があります。私たちが認識する血圧は一般的に「上腕動脈の圧力」です。一定の血圧があるから血液は体のすみずみまで行き届くのです。

血圧を測る理由とは?

 血圧は一般的に2つの値があります。心臓がギュッと縮んで血液を大動脈へ送り出したときの血圧を「収縮期血圧」と呼びます。「最大血圧」や「最高血圧」、「上の血圧」と一般的には呼ばれています。これに対し、体内から戻ってきた血液によって心臓が膨らんだときの血圧を「拡張期血圧」と呼びます。「最小血圧」「最低血圧」、「下の血圧」などと呼ばれています。健康診断などで血圧を測る際、「上の血圧は何ミリ、下の血圧は何ミリ」と、血圧は上下の2つのセットで示されます。
 血圧を測定するときは、上腕に「カフ」と呼ぶ腕帯を巻いて測定するのが一般的です。上腕付近には上腕動脈があり、心臓に近い大動脈の血圧を反映させることができます。上腕の血圧を測定すれば、心臓の健康状態を知ることもできるのです。
 血圧は、左上腕などの同じ場所で毎回測定するのが基本です。血圧は血管の太さや状態に応じて異なるため、毎回違う場所で測定すると、血圧の推移を正しく読み取れません。自宅などで測定する際は、毎回同じ部位で測定するよう心がけます。

血圧の変動は心臓以外も関与

 血圧の推移には、心臓の働きが大きく寄与するものの、私たちの体の中には、血圧をコントロールする役割を果たす仕組みが備わっています。その1つが、呼吸や心拍数などを維持する「自律神経」です。
 自律神経は主に、活動をつかさどる「交感神経」と、体を休息に適した状態にする「副交感神経」があります。このうち交感神経は、外部の影響などを受けて緊張すると強く作用します。このとき末梢血管は収縮するため、血圧が上昇します。緊張が和らぐと末梢血管の収縮も収まるため、血圧は降下します。
 「受容体」と呼ぶ血管の内側にある器官も血圧のコントロールにかかわります。心臓近くにある太い動脈(大動脈弓)にある受容体は血圧の上昇や降下を検知し、その情報を交感神経に伝達する役割を担います。血圧の上昇や降下を逐一把握することで血圧をコントロールできるようにしています。
 首にある太い動脈(頸動脈)にある受容体は、血液中の酸素や二酸化炭素の濃度を読み取ります。濃度の変化を心臓の中枢神経などに伝達することで、呼吸や心拍をコントロールして血圧を調整します。

高血圧 (1章-2) 血圧はなぜ上昇するのか?

血圧は心臓や自律神経などによってコントロールされますが、
それでも必要以上に上昇するケースがあります。血圧はなぜ、過度に上昇するのでしょうか。
血圧上昇による弊害も含めて考察しましょう。

血圧の高い状態が慢性化すると「高血圧」に

 血圧は心臓や自律神経、血管内の受容体などの働きによって保たれているものの、運動したりストレスを感じたりすれば一時的に上昇します。そのほか、起床直後は上昇し、睡眠時は通常より10~20%ほど降下します。血圧は日々の行動に応じて変動しています。こうした日常生活に起因する血圧の変動は主に自律神経が影響し、「血圧日内変動(けつあつにちないへんどう)」と呼ばれます。
 「高血圧」と呼ばれる状態は一般的に、こうした日常生活と関係ない理由で起こった状態を指します。慢性的に高血圧の状態である「高血圧症」という病気を患っているケースを「高血圧」と総称することが多いようです。

高血圧は複数要因が複雑に絡み合った状態

 血圧はなぜ、高い値のままになってしまうのでしょうか。いくつかの要因が挙げられますが、主に次の理由が考えられます。  これら要因の中でも(1)と(2)に関連する要素が増えると、血圧をコントロールできない状態が続きやすくなります。具体的には副腎、腎臓などに関連するホルモンや自律神経の乱れ、塩分の取りすぎによる血液量の増加、血管の収縮、さらには(5)の動脈硬化などの状態が、(1)と(2)に多大な影響します。
 高血圧はこれらの要因が複雑に関連し合うため、原因を明確化できにくくなっているのです。

高血圧と動脈硬化は悪循環を招きやすい

 高血圧が体におよぼす影響として最も危惧したいのが「動脈硬化」です。動脈硬化が高血圧を招く一方で、高血圧が動脈硬化を招くこともあるのです。
 動脈硬化とは、体内の血管で起こる“老化現象”をいいます。高血圧の状態が長く続くと、老化現象は一層進行します。高血圧の状態では、血管の内壁に強い圧力がかかるため、血管がダメージを受けやすくなってしまうのです。

高血圧が続くと血管の内壁が傷つきやすくなる

 高血圧によって血管への負荷が高まると、血管はダメージを受けやすくなる。血管が固くなるなどして血流が悪くなると、血管が破けたり詰まったりしかねない。

 血管はダメージを受けると硬くなったり、血流が悪くなったりします。血管の内側に「粥腫(じゅくしゅ)」と呼ぶ粥状の塊や、「血栓」と呼ぶ血の塊が付着することもあります。血管が破けたり詰まったりすれば、命に関わる病気を引き起こしかねません。
 危険な状態ともいえる高血圧ですが、その一方で近年は医学が進歩し、血圧を下げる具体策が次々と取り入られ始めています。どういった処置をすると血圧をどの程度下げられるのか、健康や生活に影響をおよぼしかねない具体的な血圧なども明らかになっています。専門医などがまとめた高血圧治療の指針などもあり、高血圧を治療する素地は十分整っているのです。
なお、高血圧の原因として、腎臓や内分泌機能にまつわる病気、神経機能の異常、肝障害の治療に用いられる薬の副作用がかかわるケースもあります。こうした高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、原因を特定しにくい高血圧と区別されます。高血圧の予防や治療方法は異なるので注意が必要です。
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高血圧 (1章-3) 高血圧の診断基準と測り方

健診などの血圧測定時にいわれる「上が何ミリ、下が何ミリ」。
具体的にどの値だと高血圧に該当するのでしょうか。
もし高血圧の場合、どの値ならば安心といえるのでしょうか。
ここでは血圧の適正値と、家庭での正しい測定法を紹介します。

高血圧の人は「上140/下90」未満を目標に

 血圧を測るときの目安として、ここでは日本高血圧学会が定めた「高血圧治療ガイドライン2014」に基づいて説明します。
 医療機関の診察室などで血圧を測定したとき、「上の血圧が140ミリ以上、下の血圧は90ミリ以上」であると、一般的には高血圧になります。正しくは「収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg」と表します。自分の測定結果がこれらの値を超えている場合、まずは「上140ミリ、下90ミリ」を切ることを目標にするとよいでしょう。
 ただし、自宅で血圧を測定するときは「収縮期血圧135mmHg/拡張期血圧85mmHg」以上で高血圧です。緊張によって血圧が上昇しやすい病院などよりも、リラックスできる自宅の方が血圧は下がりやすいため、数値が低めに設定されています。自宅で「収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg」という場合は確実に高血圧ですので、さらに血圧を下げる努力が必要でしょう。
 なお、血圧が「収縮期血圧130mmHg/拡張期血圧85mmHg」に収まっている場合を「正常血圧」、「収縮期血圧120mmHg/拡張期血圧80mmHg」に収まっている場合を「至適血圧」といいます。

血圧値の分類

 血圧は収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の値によって、いくつかの状態に分類される。一般的に収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧となる。

 ちなみに、「mmHg(ミリメートルエイチジー)」という単位は圧力を表します。同じ意味を持つ別の言葉に「torr(トル)」という単位がありますが、血圧では一般的に「mmHg」を用います。

「高血圧」の範囲外で注意すべきケースも

 基本的な降圧の目標値は「上140、下90」を切ることですが、例外もあります。その1つが「正常高値血圧」です。
 言葉だけ見ると、「正常なのか高血圧なのか分からない」と混乱する人もいるでしょうが、正常域血圧の中で高めの状態を示します。
 正常高値血圧の定義は、「収縮期血圧130~139mmHg、または拡張期血圧85~89mmHg」に当てはまる状態を指します。端的にいうと、高血圧に限りなく近い“すれすれ”の状態です。
米国マサチューセッツ州で行われた「フラミンガム心臓研究」というプロジェクトでは、十数年にわたって脳卒中や心筋梗塞などの発症率を調査しました。その結果、正常高値血圧に該当する人の発症リスクは、至適血圧の人に比べて男性で2倍以上、女性で5倍以上になることが分かりました。正常高値血圧の人も生活習慣の改善などによって、血圧のコントロールを心がける必要があるのです。
 なお、合併症の心配のある人は、血圧の推移をより注意深く見守る必要があります。高血圧に加えて、糖尿病や慢性腎臓病などの合併症の心配がある人は、血圧の目標を「収縮期血圧130mmHg/拡張期血圧80mmHg」と、より低い値を目標に定めるのが望ましいでしょう。合併症がある場合、わずか5mmHgの違いであっても心血管疾患の死亡リスクが3倍になることが分かっています。

自宅でも血圧を測定する習慣をつけよう

 高血圧の基準値について、細かい数字まで正確に覚えておく必要はありません。もし自分の血圧が不安なら、かかりつけ医に相談し、「どのくらいまで下げるべきか」「目標とする数値を教えて」などと確認するとよいでしょう。自分が守るべき目標値をメモするなどして、その数値を意識しておくことが大切です。
 普段から自分の血圧を管理するには、病院などで血圧を測定するだけではなく、自宅などでこまめに測ることも必要です。自宅で測るときは、毎回決まった時間、決まった環境で行うのがポイントです。正しい姿勢とリラックスして測ることも大切です。これらは、日々の血圧の推移を正確に読み取れるようにするためには欠かせません。
 血圧計にはいろいろな種類がありますが、手首を使って測定するものより上腕で測定する血圧計の方が、一般的には正しい血圧値を反映するといわれています。こうした血圧計を用意し、可能なら1日2回、朝の排尿後と就寝前に測るようにしましょう。計測値とともに、体調の変化やいつもと違う状態なども記録しておきましょう。
 血圧の変動に注意を払うべきですが、細かな変動に対して神経質になりすぎる必要はありません。記録するという行為自体が日々の体調管理に役立つのはもとより、食事や運動で数値が改善したときの励みにもなります。自分が気づかなかった生活リズムや行動パターンを見つけるきっかけにもなります。まずは記録することを習慣づけ、血圧のわずかな変動に一喜一憂せず、血圧を目標値へ徐々に近づけられるように意識を向けることが大切です。

高血圧 (1章-4) 見つかりにくい「かくれ高血圧」

「かくれ高血圧」は医学上の用語では仮面高血圧といわれ、
通常の血圧を測定するだけでは判別しにくい、いくつかの高血圧を指します。
疑いがあれば、通常の高血圧と同様に対策を考えていくようにします。

「かくれ高血圧」の種類と特徴

 病院などの診察室で測った血圧と、自宅で測った血圧が一致しないことがあります。こうした判別しにくい高血圧を把握することが、患者の健康状態をジャッジする上で重要であることが分かってきました。かくれ高血圧の種類と特徴を以下で紹介します。

かくれ高血圧の種類

 かくれ高血圧は、血圧を測定した場所や時間に応じて高血圧になるタイミングが異なる。血圧が上昇する主な要因もそれぞれ異なる。

 ■仮面高血圧
「仮面高血圧」は、「診察室での測定結果は正常だが、家庭で測定すると高血圧」という状態です。朝だけ高い人(早朝高血圧)、特定の状況のみ高い人など、病態はさまざまですが、臓器障害や、脳梗塞や心筋梗塞にかかるリスクは高血圧の人と同様です。
 家庭でのこまめな計測を心がけるようにします。場合によっては、体に血圧計を装着して血圧を測り続ける24時間血圧計を用いて測定することも必要です。より細かな検査が必要になることもあります。
 飲酒や喫煙習慣の有無、寒冷による温度変化の影響、立ち上がったときに血圧が上がる起立性高血圧、降圧剤の効き目の持続時間の影響などとのかかわりが明らかになっています。

 ■夜間高血圧
 通常は血圧が落ち着いているはずの夜間に、家庭血圧計で測ったときの血圧が120/70mmHg以上と高くなる状態です。24時間血圧計を使って検査しますが、最近では家庭血圧計でも検出されることがあります。
 夜間高血圧の高下の幅が大きくなると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが増えたり、脳の認知機能や身体機能が低下したりする影響があると考えられています。また、通常の高血圧に加えて夜間高血圧であるタイプと、夜間高血圧のみのタイプがありますが、後者でも心血管病などのリスクが高くなることが分かっています。夜間高血圧は、血液量の増加や、自律神経の障害、睡眠時無呼吸症候群、うつ状態、そのほかの合併症などとのかかわりも明らかになっています。

 ■昼間高血圧(ストレス下高血圧)
 「診察室や自宅での測定結果が正常でも、ストレスにさらされている日中に血圧が高くなる」状態です。職場や家庭でのストレスや、身体的なストレスなどのかかわりが明らかになっています。検出するには、家庭血圧計や24時間血圧計での測定が必要です。
仕事中に起こる「職場高血圧」は、昼間高血圧の代表的な状態です。肥満の人や家族に高血圧の人がいる場合に多く見られます。
夜間に働いている人で職場のストレスによる高血圧が疑われる場合、自然な血圧の変動である血圧日内変動も考慮する必要があります。

 かくれ高血圧は、複数ある高血圧のタイプのうちの1つと考えられます。詳しい検査によって特性や血圧の振れ幅などからタイプを絞り込むことで、効果的な対策や治療につながる場合があります。
 なお、高血圧ではありませんが、かくれ高血圧と逆の状態の「白衣高血圧(白衣性高血圧ともいう)」があります。これは、「診察室での測定結果は高血圧だが、家庭では正常域」というもので、薬ですぐに治療する必要のない状態です。高齢者に多く、将来的に高血圧になったり、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高くなったりすることがあり、慎重に経過を見る必要があります。また、肥満や高血糖などの合併症があるかどうかによっても、より詳しい検査や治療が必要になることもあります。 [content]

高血圧 (1章-5) 高血圧にみられる自覚症状とは?

血圧の上昇に伴って感じる痛みや違和感はあるのでしょうか。
結論からいうと、自覚症状はありません。しかし、軽視は禁物です。
高血圧は感じることができないからこそ、十分な注意が必要なのです。

症状が出たときには重症化していることも

 健康な人でも起床時には血圧が上昇します。しかし、「いま血圧が上昇している」と感じることは一般的にありません。
また、高血圧の人が興奮したり怒ったりしたとき、「血圧が上がってしまった」と考えたり、そのように表現したりすることがあります。しかし実際は、感情や体温の変化を「血圧が上がる」という言葉に置き換えただけで、「高血圧を感じ取る」ことはありません。もちろん、興奮や怒りによって実際に血圧が上がることはありますが、正確には計測しないと分かりません。
 そのほかにも、ストレスや肩こり、頭痛、めまい、動悸(どうき)、息切れ、疲労などを「血圧のせい」と考えることがありますが、高血圧は基本的に自覚症状がありません。悪化すると動悸やめまいを感じることはありますが、血圧との直接の因果関係を判断することはできません。理由のない頻繁な鼻血や、物忘れ、胸痛、息切れ、手足の麻痺などが現れるケースもあります。しかしこれは、すでに重症化した高血圧によって動脈硬化が進行したことによる症状だと考えられます。つまり、自覚症状を感じる段階では高血圧だけではなく、これらの合併症の治療も合わせて行う必要があるのです。

命にかかわる発作を引き起こす場合も

 自覚症状がなくても、高血圧を放置することは危険です。会社や自治体の健康診断で高血圧を指摘されたときに、「今のところ痛くもかゆくもない。高血圧と指摘された人は多いから大したことはないだろう」などと、勝手に判断してはいけません。患者数が多いから危険は低いという理由は成り立ちません。
 高血圧をまったく治療せずに放置し、重症化して何年もそのままにした場合、一体どうなってしまうのでしょうか。結論からいうと、脳や心臓などの太い動脈が破けたり詰まったりして、脳卒中や心筋梗塞の発作がいつ起きてもおかしくない状態に陥ってしまいます。

高血圧による血管へのダメージ例

 高血圧によって血管が傷つくと、血管が破れたり詰まったりしやすくなる。その結果、脳卒中や心筋梗塞といった命の危険を脅かす病気を引き起こす可能性が高くなる。

 高血圧を放置すると、自覚症状がなくても血管はダメージを受け続けることになります。もちろん、細かい血管のダメージや老化は、高血圧でなくても加齢によって進行しますが、ある程度であれば体が自力で修復します。しかし、進行を食い止める努力をまったくせずに太い動脈がダメージを受け続けた場合、前述のような脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる発作や病気につながりかねません。
 高血圧は「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれることがあります。「気づかないうちに忍び寄って命を狙う」というイメージでしょうか。脳卒中や心筋梗塞にかかると、そのまま絶命する場合がありますが、言語障害や半身麻痺、寝たきりなどにつながる可能性もあります。QOL(生活の質)を維持するためには、高血圧の治療について抜かりなく取り組むことが大切なのです。
 最も大切なことは、早期発見・早期治療です。健康診断やかかりつけ医を利用して定期的に血圧を測定します。もし高血圧だと分かった場合、積極的に対策と治療を行いましょう。軽い高血圧であれば、生活習慣の修正で血圧を下げることも可能です。
治療するのを嫌がらず、健康意識を高める一環として前向きにとらえることが大切です。毎日を明るく元気にすごすためにも、治療と向き合って取り組むのが望ましいでしょう。