高血圧の原因
高血圧(第2章)

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女性のライフイベントと高血圧にはどんな関係があるのか?

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高血圧 (2章-1) 高血圧になりうる要因とは?

高血圧の多くは、直接的な原因を特定するのが困難です。
でも、高血圧にかかりやすい人の体質や生活習慣は明らかになっています。
ここでは、血圧に影響をおよぼしやすい要因について解説します。

減塩には大きなメリットがある

 高血圧の原因や仕組みは複雑で、体のどの部分を修復したり栄養を補ったりすれば下降するというものではありません。しかし、血圧に影響を与える要因は明らかになっています。改善を進めるためにも、ポイントを整理しておきましょう。
 1つめのポイントは、「減塩」です。塩分の過剰摂取が血圧の上昇と深い関係にあることは、多くの研究結果が導き出しています。実際に高血圧患者の4割が、食塩の摂取量を減らしたことで血圧が降下したといいます。これを「食塩感受性の高血圧」と呼びます。ただし、自分がこの体質であるかどうかを調べる検査方法は今のところありません。
 食塩感受性の高血圧ではなかったとしても、塩分を控えると降圧剤の効き目がよくなるというメリットがあります。塩気の少ない食事を取ると、結果的に摂取カロリーを抑えられることから肥満を解消することもできます。
 現在の日本人の1日の食塩摂取量は約10gですが、まずは男性8g、女性7g、次に男女ともに6gを目指して減らすことが望ましいとされています。

食塩の1日あたり摂取目安量

 日本では塩分の摂取が多く、高血圧を予防するためには食塩制限が欠かせない。段階的に減らし、男女とも6g/日を目標摂取量とするのが望ましい。

減量、飲酒量の改善、禁煙にも効果

 体重のコントロールと、タバコやお酒といった嗜好(しこう)品の摂取もポイントの1つです。
 肥満を改善すると、降圧効果を期待できるようになります。具体的には、肥満の人が体重を1kg減らすと、収縮期血圧(上の血圧)、拡張期血圧(下の血圧)がともに1.5mmHg下がるといわれています。また、標準体重までやせなくても体重を約3%減らすだけで血圧や血中脂質の改善が見込めます。体重が90㎏の人なら、3㎏減らすだけで健康度が向上することになります。
 晩酌が欠かせない人や宴会好きな人は、お酒の量にも目を向けてみてください。飲みすぎの人が飲酒量を8割抑えると、1~2週間で血圧が降下するという研究があります。特に男性の場合、節酒による効果が高くなります。少量の飲酒は心臓の血管を保護する効果が見込めるという研究結果があるため、飲酒は上手に付き合っていくことが大切です。
 一方、タバコはすぐ禁煙するようにします。喫煙は血圧への影響にとどまらず、健康を管理する上で見直さなければなりません。喫煙そのものが、がん、心臓の冠動脈疾患、脳卒中のリスクに深くかかわるほか、受動喫煙でもこれらのリスクは上昇します。

両親とも高血圧なら子供の半数に遺伝

 高血圧の発症は遺伝も関係します。例えば、両親がともに高血圧の場合、子供がその体質を受け継ぐ確率は2分の1です。両親のどちらかが高血圧の場合は3分の1、どちらも高血圧でない場合は20分の1といった研究結果があります。近年のゲノム解析では、日本人の高血圧にどの遺伝子がかかわっているかが絞り込まれています。遺伝子検査からえた情報を高血圧の予防や改善に役立てるテーラーメイド医療が実現する日は近いかもしれません。
 両親とも高血圧の人は、より気をつけて血圧をチェックすべきですが、両親がともに正常域血圧でも、血圧が下がらずに悩む人もいます。遺伝のみが高血圧の有無や度合いを左右するわけでは必ずしもありません。

高血圧 (2章-2) 特定の病気やトラブルが原因の高血圧も

腎臓などのさまざまな疾患が原因となって血圧は上昇することがあります。
「二次性高血圧」と呼ばれるこのタイプの高血圧は、
原因となる病気を治療することで改善できます。

腎臓や副腎の病気による高血圧

 原因を特定できない本態性高血圧(一次性高血圧とも呼ぶ)とは別に、原因となる病気がはっきりしている高血圧を「二次性高血圧」といいます。
 二次性高血圧の患者数は高血圧全体の5~10%で、本態性高血圧とは病態も治療方針も大きく異なります。原因となる病気を突き止めて治療することで血圧を効果的に下げられます。
 二次性高血圧の原因となる病気は、腎臓にかかわるもの、副腎(腎臓の上の小さな臓器)などの内分泌にかかわるもの、大動脈にかかわるもの、そのほかの病気や薬にかかわるものに大別できます。特に頻度の高い病気や病態について以下で解説しましょう。

腎性の高血圧

 二次性高血圧の中で最も多いのが「腎実質性(じんじっしつせい)高血圧」と、「腎血管性(じんけっかんせい)高血圧」といった腎臓病にまつわる高血圧です。
 腎実質性高血圧は、慢性糸球体腎炎、糖尿病による糖尿病性腎症、多発性嚢胞(のうほう)腎といった病気によって腎臓に障害が起こり、高血圧となる病態をいいます。高血圧全体からみると、2~5%を占めているといわれています。

腎臓にかかわる病気が高血圧の要因になることも

 「慢性糸球体腎炎」や「糖尿病性腎炎」「多発性嚢胞腎」といった病気によって腎臓が傷つくと、高血圧を誘発しやすくなる。ただし、高血圧全体から見ると、腎臓病に起因する割合は2~5%にとどまる。
 腎血管性高血圧は、腎臓の動脈が繊維筋性異型性や動脈硬化などの原因によって狭くなり、腎臓から血圧を上げるホルモンの分泌が進んで起こります。二次性高血圧が起きやすい腎臓の病気や病態は、腎臓の働きがかなり悪くなった腎不全も含みます。

内分泌性の高血圧

 副腎や甲状腺、副甲状腺、下垂体などの内分泌の病気による高血圧もあります。中でも多い病気は「原発性アルドステロン症」です。原発性アルドステロン症にかかると副腎の腫瘍や過形成によって、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されて血圧が高くなります。
 そのほかに、二次性高血圧が起きやすい内分泌系の疾病や病態には、クッシング症候群、褐色細胞腫、パラガングリオーマ、バセドウ氏病、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進(こうしん)症、末端肥大症などがあります。

血管性の高血圧

 血管のトラブルが血圧の上昇に直接かかわるケースもあります。例えば、炎症などが原因で太い血管が狭くなったり、大動脈弁の閉鎖不全が起こったりすることがあります。先天的に大動脈の狭い大動脈狭窄(きょうさく)症の人が二次性高血圧にかかることもあります。

そのほかの二次性高血圧

 脳血管障害や脳腫瘍によって二次性高血圧を起こす場合もあります。まれではありますが、遺伝的血圧異常症という遺伝性の病気も存在します。また、非ステロイド性の抗炎症薬、主成分が甘草(かんぞう)で、グリチルリチン酸を含む肝疾患の治療薬といった薬の副作用で、血圧が上がってしまうこともあります。
 重度の高血圧や若い年齢での高血圧、急激な高血圧が起きた場合、二次性高血圧の可能性が一般的に高くなります。疑わしい場合、適格に治療するために、それぞれに応じた病歴のヒアリングや診察、尿検査や血液検査、CT検査、超音波による検査、MRI検査などが必要となる場合もあります。

高血圧 (2章-3) 高齢者と女性特有の高血圧

年を取ると一般的に血圧が上がりやすくなります。
特に女性の場合、妊娠や出産、更年期などが影響して血圧が上昇するケースもあります。
ここでは、高齢者と女性に見られる高血圧の要因を考察します。

血圧を管理して生活の充実度を保とう

 高血圧の高齢者は、どのくらいの割合を占めているのでしょうか。日本高血圧学会が提供する「高血圧治療ガイドライン2014」によると、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上、または降圧剤を服用している人の割合は、70歳以上の男性では80.8%と8割を超えています。70歳以上の女性も71.2%と、男女ともに高い値を示しています。30代、40代、50代、60代、70代と高齢になるほど割合は高く、高齢者は高血圧になる割合が極めて高いことが分かります。なお、65~74歳の高血圧の割合は66%、75歳以上の高血圧の割合は80%となっています。

高齢者における高血圧の人の割合

 高血圧の人の割合は、65~74歳で66%、75歳以上の80%もの人がかかっている。75歳以上に限れば、5人に4人が高血圧となる。出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」

 年を取ると動脈硬化が進むことから血圧が上昇しやすくなります。心臓からより強い力で血液を送り出す必要があるため、拡張期血圧(下の血圧)より収縮期血圧(上の血圧)が上昇する傾向があります。ただ高くなるだけではなく、血圧そのものが変動しやすいのも特徴です。急に立ち上がったときや食後、入浴後などに高下しやすくなります。
 高齢者になってから高血圧になったときの対策や治療法は、成人と基本的には変わりません。しかし、生活の質や充実度を表すQOL(Quality of life)を保つ意識をしっかり持つことが肝心だといわれています。
 なお、80歳以上の高血圧患者を対象とした研究では、対象者の平均血圧は上が173、下が91mmHgと明らかに高値でした。しかし、適切な薬を用いるなどして上を150、下を80mmHgになるように目指したところ、脳卒中や心不全などの発作、骨折などの発症率が減少したといいます。認知症患者も増加しませんでした。
 80代、90代になっても元気にすごすためには、高血圧への対策が欠かせません。何歳になっても、健康への取り組みが遅いということはないのです。

女性は更年期前後に血圧が上がりやすい

 女性は年代を問わず、男性よりも血圧が低い傾向にあります。エストロゲンという女性ホルモンに、血管の老化や収縮を防いだり、体内の水分やナトリウムを調整したりする働きがあるのが一因です。しかし、更年期や閉経の前後になると女性の体は変化します。女性ホルモンの減少、それに伴う肥満の増加、更年期の不定愁訴によるストレスやイライラなど、高血圧につながりやすい心身の移り変わりが起こりやすくなります。これらを上手にコントロールできるよう、早いうちから健康管理や生活習慣を見直したり、運動や趣味の習慣を持ったりするように心がけるとよいでしょう。
 また女性の場合、妊娠に関係して血圧が上昇することがあります。これは、子宮や胎盤へ送る血流を望ましい状態に保つためと考えられており、食事、運動、服薬ともに最も安全かつ効果的な対策を医師と相談しながら選ぶようにします。妊娠中に高血圧にかかった人は、更年期以降も血圧が上昇しやすくなることが分かっています。子供の成長後も母子手帳は捨てず、当時の記録を参照できるように保管しておくとよいでしょう。