高血圧の合併症
高血圧(第3章)

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種類だけじゃない!脳や心臓に関わる合併症も多い高血圧

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高血圧 (3章-1) 高血圧が招く最大の問題は動脈硬化

高血圧を放置すると動脈硬化が進行します。
動脈硬化は高血圧と相関関係にあり、動脈硬化が進めば血圧も上がってしまいます。
高血圧と動脈硬化をともに予防、もしくは悪化するのを防ぐことが大切です。

動脈硬化は古いゴムホースに例えられる

 「動脈硬化」の「動脈」は体内にある太い血管を指し、「硬化」は硬くなることをいいます。動脈硬化は血管の老化といわれ、ゴムホースの劣化によく例えられます。ゴムホースは血管、水は血液、水圧は高血圧だと考えてみてください。
 ゴムホースが古くなるとひび割れてボロボロになり、しなやかさを失って水が流れにくくなります。その一方、水を大量に送るには水を勢いよく流さなければならず、水圧を上げる必要があります。しかし、高い水圧をかけ続けると、ボロボロになったホースに亀裂が入ったり水が漏れたりしかねません。人の血管でも動脈硬化になると似たようなことが起こりかねないのです。

太い血管にも細い血管にも動脈硬化は起こる

 動脈硬化のメカニズムを、タイプごとに説明しましょう。まず、比較的細い血管で起こるのが「細動脈硬化」です。血液による高い圧によって血管の内側に小さな傷がつくことで血管壁が硬く厚くなり、しなやかさを失って血液が流れにくくなります。
 「粥状(じゅくじょう)動脈硬化」は、血管内に瘤(こぶ)ができて血流が悪くなります。高血圧によって「血管内皮細胞」(血管の内側の細胞)に傷がつくと、そこに白血球によって取り込まれた悪玉コレステロールが付着します。やがてドロドロしたお粥状の物質になって内皮の下にたまります。すると、この部分が瘤のようになり、血管の内側を盛り上げて血流を悪くします。

粥状動脈硬化による血管のイメージ

 血管の内膜にドロドロしたお粥状の物質が付着すると、次第に肥厚して動脈内が狭くなってしまう。

 さらに、この部分の傷を治そうとして「血小板」が付着すると、血管の内膜がより分厚くなってしまいます。すると、血管の内側がさらに狭くなり、瘤が破れたり硬い血栓ができたりして、血管をふさいでしまうことがあるのです。このような病態は「アテローム硬化」と呼ばれています。アテロームとは「粥状硬化層」という意味です。
 「中膜硬化」という、太い血管に起きやすいタイプの動脈硬化もあります。石灰質がたまって動脈の内側が骨のようになり、主に血管の内壁が壊れやすくなってしまいます。血管の外側の壁(血管壁)が破れる場合もあります。

太い血管が破けて恐ろしい発作が起こる場合も

 血管の内側の内皮細胞は通常、血管を適度に伸び縮みさせたり、血液が固まるのを防ぐ働きをしたりして血管の健康を保っています。しかし、高血圧や高血糖が続くと内皮細胞は正常に機能しなくなると考えられています。
 動脈硬化が進行して血管がふさがったり破裂したりすると、恐ろしい病気や発作につながります。脳の中の太い血管が破れれば、命を落とす危険の高い脳出血やくも膜下出血が起こりかねません。軽度であれば命を落とすことはありませんが、麻痺や言語障害が残る例もあります。特に高血圧は、これらの脳卒中と関連が深いことが分かっています。
 もちろん、脳ドックなどの検査法や発作前後の治療法などは日々進化しています。しかし簡単に予防できたり、すぐに回復したりする病ではないことは容易に想像がつくでしょう。このような病気や発作につながる可能性があるからこそ、動脈硬化は危険なのです。

高血圧 (3章-2) 高血圧に合併しやすい病気とは

高血圧には「合併症」と呼ばれる病気があります。
中でも危険性が高いのが、脳と心臓にかかわる病気です。
よく知られている脳卒中や心筋梗塞以外にもさまざまな病気があります。

脳に起こる合併症に注意

 日本の高血圧患者が患う合併症のうち最も多いのは脳の血管障害です。高齢者の増加によって患者数が増えており、寝たきりにつながる健康問題にもなっています。
 脳の血管障害には、具体的にどんな病気があるのでしょうか。脳の動脈が破裂して起こる病気が「脳出血」です。その中の1つが「くも膜下出血」で、「脳梗塞」は血栓によって動脈が詰まる病気をいいます。
 脳は生命を保つために重要な働きを担っています。脳に血液が届かなくなって酸素や栄養素の供給が滞れば、命に危険がおよんだり、脳以外の身体機能に障害が起きたりしかねません。脳組織の一部が死んでしまう壊死(えし)が起こると、物事を思考したり手足を動かしたりといったことが行えなくなる可能性もあります。

脳内の血管で血栓が詰まる脳梗塞

脳梗塞によって血液が脳に行き届かなくなると、その部分は壊死し、脳の機能が失われる。麻痺や記憶障害、言語障害などの重い後遺症を招くこともある。

 細い血管の出血なら大事には至らないことがあるものの、認知症や記憶障害のきっかけになることもあります。また、小さな血流障害でも頻発すれば、脳全体の機能が障害される場合もあります。なお、脳の右側(右脳)が障害されると左半身に麻痺が起きやすく、脳の左側(左脳)が障害されると、右半身の麻痺が起きやすいといった特徴もあります。
 一方、一時的に脳への血流が不足して起こる症状を「一過性脳虚血(いっかせいのうきょけつ)発作(TIA)」といいます。言葉が急に出なくなる、物事を理解できなくなる、体の一部が麻痺するといった発作が見られますが、24時間以内に症状はおおむね消えてしまいます。脳出血や脳梗塞の前触れであるともいわれています。

高血圧による心臓病の合併症

 心臓に通じる冠動脈に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなって起こる発作が「狭心症」です。悪化すると血流が途絶えて「心筋梗塞」が起こり、心筋(心臓の筋肉)が壊死します。心筋梗塞は命を落とす確率が高い病気です。
 高血圧は動脈硬化を進めるだけでなく、心臓そのものにも圧力をかけて負荷を高めてしまいます。こうした負荷によって心臓の左心室が肥大した状態を「心肥大」といいます。進行すると心臓の機能が低下して「心不全」に陥ります。
これらの病気を防ぐためには血圧のコントロールと、定期的な健康診断が重要です。特に脳卒中は、次のような前兆が現れることがあります。万が一、これらの前兆を感じた場合、「すぐ消えたから大したことはないだろう」などと自己判断せず、医療機関をすぐに受診してください。たとえ数分で解消したとしても、治ったわけではありません。

高血圧 (3章-3) 目や腎臓の合併症に注意

高血圧が原因で、目や腎臓にダメージがおよぶことがあります。
症状が悪化すると失明したり、人工透析が必要になったりする場合もあります。
症状の悪化を防ぐためには高血圧による合併症の知識を身につけ、
病気を適切に治療することが大切です。

腎臓や目の病気は生活の質を下げやすい

 高血圧の合併症には、脳や心臓にかかわる病気以外にも気をつけるべき病気が多々あります。大別すると腎臓の病気、目の病気、大動脈の病気、足の病気に分けられます。これらは生活に支障をきたすものが多く、脳や心臓の合併症同様、十分に注意する必要があります。

腎臓に起こる腎硬化症や腎不全

 腎臓の細い血管が動脈硬化になると、腎臓が硬く縮んでしまいます。こうして腎臓の機能が低下すると「腎硬化症」といった病気が起こります。老廃物をスムーズにろ過できなくなり、尿タンパクや血尿、むくみ、だるさといった症状が現れます。さらに悪化すると、「腎不全」に陥って人工透析が必要になったり、尿毒症という危険な状態になったりする恐れがあります。

目に起こる高血圧性網膜症や眼底出血

 目の網膜には微細な動脈が集まっています。この血管が動脈硬化になると、網膜に小さな出血や斑点が現れて視力に障害が起きます。これが「高血圧性網膜症」です。また、眼底の血管が破裂して出血した場合、すぐに失明することもあります。

大動脈瘤(りゅう)や大動脈瘤破裂、大動脈解離

 大動脈という太い血管の動脈硬化によってできた瘤(こぶ)、破裂、亀裂による病気をそれぞれ「大動脈瘤」「大動脈瘤破裂」「大動脈解離」といいます。胸、背中、腰、腹部などが激痛に襲われ、大量出血で失血死することもあります。
大動脈の太さは、胸部で直径約25~30mm、腹部で20~25mmにもなります。親指と人さし指で丸を作ってみると、太くて重要な血管であることをイメージできるかもしれません。瘤ができると大動脈の直径は倍近くに膨れ上がることもあります。

足の血管が動脈硬化になる恐れも

 足にも太い動脈が通っています。足の血管が動脈硬化になると下半身の血流が低下して、痛みやしびれ、自立歩行困難といった症状が起こる場合があります。また、手足にある主要な動脈が動脈硬化によってふさがると、膝から下の痛みや歩行困難、潰瘍などの症状が現れることがあります。
これらの合併症によって「歩けない」「見えない」などの問題が起きた場合、現代の日本では残念ながら不便や苦痛を強いられることが多くなります。高血圧とは直接関係ないほかの病気になったり、転倒事故を起こしたりする可能性も高くなります。健康寿命を延ばして生活の質を保つためにも、高血圧を改善して予防を心がけましょう。

メタボリックシンドロームにご用心

 メタボリックシンドロームは高血圧を原因とする合併症ではありませんが、高血圧の人は糖尿病にかかりやすく、反対に糖尿病の人は高血圧にかかりやすくなります。これは、高血圧に加えて糖尿病(高血糖)、内臓脂肪型肥満、脂質異常症といったほかの危険因子を持っていると、それぞれが悪影響をおよぼし合うためと考えらます。そのため、動脈硬化が悪化したり、そのほかの健康上の問題が起きやすくなったりするといった状態を「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」と呼びます。
例えば「血圧と血糖値のみがやや高い」のように、それぞれが比較的軽度であってもメタボリックシンドロームに陥る可能性があります。メタボリックシンドロームにならないよう改善を心がけることが大切です。

高血圧を含めた複数の危険因子がメタボリックシンドロームを招く

 「高血圧」「内臓脂肪型肥満」「糖尿病」「脂質異常症」を患っていると、たとえ軽度であってもそれぞれが悪影響をおよびし、病気を招きやすくなる。メタボリックシンドロームは肥満解消だけではなく高血圧を予防する観点からも、ならないような生活改善が求められる。