高血圧の予防
高血圧(第4章)

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高血圧に最も効果的な「減塩」のコツ

高血圧 (4章-1) 生活習慣改善が高血圧対策の基本

高血圧と分かったら改善に必要な要点を押さえて、血圧を安定させていくことを目指します。
取り組むにあたって難しく考える必要はありません。
まずは生活習慣を見直し、高血圧を改善する生活へとシフトしましょう。

率先して取り組むポイント

 高血圧には自覚症状がありません。健康診断や医療機関を受診した際、医師から高血圧治療のための改善策や治療法をすすめられても、「本当に必要なのか」と思ってしまう人は多いかもしれません。しかし、血圧が少しでも高ければ正常値へ近づける取り組みが必要です。健康に向けた“第一歩”として、高血圧の改善に取り組みましょう。
 日本高血圧学会が発行する「高血圧治療ガイドライ2014」では、血圧を下げるための方法として以下のポイントを指摘しています。

(1)食事の減塩、体重の減量
 食生活を改善して血圧を正常値に近づけるようにします。具体的には、塩分を控えることで血圧が約5mmHg下がります。しょう油のかけすぎに注意するといった心がけも必要です。野菜や果物を積極的に取ってもよいでしょう。
 食生活の改善とともに、太り気味の人は減量にも取り組みます。自分の身長に合う適正体重は、簡単な計算式から求めることができます。

 例えば身長が170cmの人の場合、標準体重は「1.7×1.7×22=約64kg」となります。自分の体重が適正かどうか把握し、太り気味なら減量に取り組むことが大切です。

 (2)こまめな運動の習慣化
 運動を習慣化することも大切です。ただし、激しい運動は必要ありません。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、簡単に取り組めるもので構いません。自分が継続しやすい運動を選ぶとよいでしょう。

 (3)酒は適量にとどめる
 お酒を飲みすぎてしまう人は、適量にとどめるようにしましょう。無理に禁酒しなくても構いません。目安とする1日の適量は、ビールなら中瓶1本(500ml)、ワインならグラスに1.5杯(180ml)、日本酒なら1合(180ml)、焼酎なら0.6合(108ml)程度です。女性ならその半分になります。

診断によっては薬を利用する

 (1)~(3)に取り組み、その後「薬を飲む方がスムーズに改善する」と医師が判断した場合、降圧剤の利用がすすめられます。薬を利用することで、ほぼ正常域血圧までの降圧が見込めます。
 なお、上記の内容は、2012年に厚生労働省が発表した「健康日本21(第2次)」の高血圧対策に基づいたポイントです。上記の内容に留意して生活習慣を改善すれば、血圧を一定の値まで下降させる効果が見込めます。

高血圧対策として有効なポイント

 高血圧を解消するための方法にはいくつかあるが、中でも運動の習慣化、飲みすぎを控える、暴飲暴食を控える、の3点は効果的な取り組みとして実践したい。

 これらを実践すれば高血糖や脂質異常症など、高血圧以外の健康上のリスクを減らすことにもつながります。加えて、喫煙している人は喫煙にも取り組みます。脳や心臓などに起こる発作のリスクを、男女ともに大きく減らすことができます。

薬は飲まずに済む場合も

 血圧を良好にコントロールするには、家庭用の血圧計も用意しておくのが望ましいでしょう。家庭用血圧計は、家電量販店や薬局、ドラッグストア、インターネットなどで入手できます。 なお、「食事を変えたり、血圧を測ったりするのは手間だから、すぐに強い薬を飲んで下げたい」という人がいるかもしれません。しかし、肥満だったり塩辛いものをたくさん食べたりしていると薬が効きにくい場合があります。
 むしろ、主たる高血圧対策は生活習慣の改善です。例えば減塩のみで十分な効果があれば、薬を飲まずに済むケースもあります。「ちょっと大変だな」「面倒だな」と思う人も、周囲の人や医師にサポートしてもらい、高血圧に負けないライフスタイルを始めてください。生活習慣改善で十分な降圧が得られない場合、降圧剤を用いるのが原則です。薬を使う場合でも、生活習慣改善は一緒に行います。

高血圧 (4章-2) 血圧を下げる食生活を

「高血圧には減塩が肝心」とよく聞きます。
塩辛い食べ物は避けるのが望ましいものの、
食べていけないものが必ずしもあるわけではありません。
ポイントを理解し、賢い献立を考えてみましょう。

最も効果的な「減塩」にトライ

 高血圧の改善を目指す上で、最も大きな柱となるのが食事のコントロールです。中でも気をつけるのが「塩分」です。塩分は「ナトリウム」というミネラルで、食塩の主要な成分です。ナトリウムを取りすぎると細胞内のミネラルのバランスが崩れ、それを防ごうと体内の水分を使って調整します。その結果、血液の循環量が増えて血圧が上昇するのです。また、ナトリウムには血管の収縮や血圧を上昇させるホルモンの分泌を促す作用もあります。
 現在の日本人は、1日に約10gの塩分を摂取しているといわれています。この量は取りすぎです。「高血圧治療ガイドライン2014」では、高血圧の人が目標とする塩分摂取量を男女ともに6gとしています。

食べ物の味にバリエーションを

 塩気の少ない食事はおいしくないと考える人がいるでしょう。どんな料理にもしょう油をかけるという人も多いはず。もし塩分を一気に減らしたら、食事自体が楽しくなくなり、食べることがストレスになってしまいます。減塩に取り組むなら、食事の楽しみを損なわないための工夫を施すことが大切です。
 例えば、しょう油や味噌に代わって香辛料を活用します。味に変化をつけつつ、塩分を減らすことができます。唐辛子や山椒、ショウガ、ハーブなどは少量でも味と風味が強く残ります。しょう油だけではなく、いろいろな香辛料を使うことで料理の味のレパートリーも増やすことができます。また、しょう油の代わりにレモン汁を使うのも一案です。焼き魚とレモン汁の相性は抜群で、レモンの酸味が焼き魚をおいしくしてくれることでしょう。

しょう油を控えて減塩に取り組むコツ

 しょう油のかけすぎに注意し、しょう油以外の調味料を活用するとよい。例えば焼き魚にはレモン汁を、煮物には穀物酢、肉のソテーにはバルサミコ酢といった具合に、いろいろな調味料を楽しみたい。

塩分を排出するカリウムに注目

 塩分を取りすぎる人は「カリウム」にも着目します。体内の塩分を尿と一緒に排せつしやすくします。体内の塩分量を調整するのに役立つことから、血圧の上昇を抑える効果も見込めます。そのほか、体内にたまった老廃物の排せつを腎臓で促したり、筋肉の収縮を円滑にしたりする効果もあります。
 カリウムは野菜や果物、海藻に多く含まれています。サラダを食べたり、海藻入りのスープを飲んだりすることで、カリウムを効率よく摂取することができます。なお、カリウムを豊富に含む果物は多々ありますが、食べすぎるとカロリーや糖分過多になる可能性があります。肥満気味の人や糖尿病などのほかの病気を患っている人は、特定の食べ物に偏ることなく、いろいろな食材をバランスよく食べることにも注意を払います。可能なら塩分やカリウム、カロリーなどの量を把握し、栄養バランスのよい食事を心がけるのが望ましいでしょう。

塩分の多い外食に注意

 自宅での食事は塩分に気をつけたメニュー中心でも、仕事先などで外食するときは、塩分に配慮した食事を取りにくくなってしまいます。飲酒時は、つい食べすぎてしまうことも多いでしょう。特にお酒のおつまみとして代表的なチーズやハム、練り物には多くの塩分が含まれています。外食のメニューははっきりした味付けにしたり、保存性を高めたりする理由から、塩分を多く含むケースが少なくありません。塩分の取りすぎに気をつけている人は、できるだけ外食を控えることが大切です。もし昼食が外食だったという場合、朝食や夕食の塩分量を減らし、1日の中で塩分量をコントロールするようにしましょう。また、ラーメンのスープを残したり、ドレッシングやタレを使わなかったりするのも効果的です。飲みに誘われたら、時には断る勇気も必要です。減塩による効果を持続するためにも、外食や飲酒などの機会を極力減らすよう取り組むことも大切です。 [content]
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高血圧 (4章-3) 運動の負荷より継続性を重視

適度な運動は心身のリフレッシュに欠かせませんが、高血圧を改善するためにも役立ちます。
具体的にどんな運動が望ましいのか。
ここでは、高血圧の人におすすめしたい運動のポイントを紹介します。

多くの研究で運動の降圧効果が実証済み

 体を動かす趣味や習慣を持つと、心身の健康度はグッと向上します。適正体重を維持するのはもとより、血圧を正常に整える効果も見込めます。さまざまな面において効果を期待できることから、運動を生活習慣に取り入れることは非常に重要です。
 数ある運動療法の中でも高血圧の人におすすめなのは、ウォーキングなどの有酸素運動です。有酸素運動とは、運動負荷が軽く、緩やかで持続性のあるものが一般的です。ウォーキング、軽い水泳、ジョギング、自転車こぎ、ヨガなどが該当します。体内に酸素を多く取り入れることで脂肪が燃焼されやすいのが特徴です。さまざまな研究で降圧効果も確認されています。どの有酸素運動も特別な準備は必要なく、運動習慣のない人でも気軽に取り組むことができます。
 また、有酸素運動を継続的に取り組むと、血圧の下降だけでなく、体重、体脂肪の低下、ウエスト周りのサイズダウン効果も見込めます。インスリンの効きがよくなったり、血液中の脂肪量や質を改善したりことも分かっています。

週に90~120分のウォーキングを

 有酸素運動の中で、最も気軽に取り組めるのはウォーキングでしょう。では具体的にはどのくらいウォーキングすれば、血圧低下を見込めるようになるのでしょうか。
 2003年に発表されたある研究結果によると、高血圧の人なら1日約30分、週に3~4回以上の運動が望ましいとされています。また、1週間に合計30~120分の運動をしたところ、すべて人の収縮期血圧(上の血圧)が下がったという結果も報告されています。特に1週間に91~120分のウォーキングした人の血圧は約14mmHg下がり、継続的な運動の有効性が証明されています。
 「高血圧治療ガイドライン2014」でも、「有酸素運動を中心に、毎日30分以上を目標に運動をすること」をすすめています。少し早足で30分歩くだけでも、太ももの大きな筋肉を動かすことで全身の血行がよくなります。加えて細い血管まで血液がめぐりやすくなり、100kcal程度のカロリーを消費できます。

楽な気持ちで継続を

 ウォーキングはストレスを解消する効果なども期待できます。屋外でウォーキングすれば季節の移り変わりを感じられるし、思いがけない発見や出会いも得られるでしょう。家族や友人などと一緒に話しながら取り組んでも構いません。なお、歩く速さは「速歩」、つまり「ややきつい」と感じながらも会話できる速度が好ましいでしょう。
 ウォーキングは普段の生活の中に取り入れることもできます。スポーツウェアに着替えて意気込んで外へ出掛ける必要はありません。買い物の際に自転車や車を使わずに少し遠くまで足を延ばしたり、通勤途中に一駅分歩いたりといった工夫をして、少しずつ歩く習慣をつけていくのがおすすめです。
外出や運動が嫌いで、最初は「歩くのがおっくうだな」と思う人も、次第に元気になって体が軽くなっていくせいか、歩く距離や時間が自然と延びていくことは多いようです。ウォーキングするときは以下の点に注意し、効果を高められるようにしましょう。

ウォーキングは正しい姿勢で30分以上行うのがポイント

 ただし、早朝のウォーキングは注意が必要です。起床した直後は血圧が上がりやすくなりがちです。ウォーキングしようと張り切って布団から跳び起きて駆け出すと、血圧が急上昇する恐れがあります。
 高血圧の人の場合、筋肉に急に負荷をかける運動や勝ち負けのあるスポーツは、いきんだり熱中したりすることで血圧を上げてしまう可能性があるため、必ずしも向いていません。収縮期血圧(上の血圧)が180mmHg以上ある人や合併症のある人も、念のため、かかりつけ医に相談してから運動に取り組むようにしましょう。
 「腰痛や膝痛があって、ウォーキングは苦手」という人は、無理をせずに座ったまま行うことのできる、軽い体操などから始めてみてはいかがでしょうか。プールで行う水中歩行なら関節への負担が少なくて済みます。室内で「その場足踏み」をするだけでも構いません。まずは体を動かす機会を作ることから始めてみましょう。