高血圧の治療
高血圧(第5章)

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自力も大事、継続的な通院と日々の血圧測定で高血圧を改善!

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高血圧 (5章-1) 血圧の急上昇を防ぐポイント

普段の生活の中でも、ちょっとしたきっかけで血圧は上昇します。
注意すべきポイントを確認し、血圧が急上昇しないよう注意することが大切です。
ここでは具体的なポイントと注意点を紹介します。

冬場のトイレにご用心

 高血圧の人にとって、寒い季節の排尿・排便は特に気をつけたいタイミングです。暖かい部屋から冷え切った廊下に出ると血圧は下がります。しかし、トイレに入って排便するために思い切りいきむと、血圧は一転して急上昇してしまいます。血圧の大幅な急変動は心臓発作などを招きかねません。さらに、和式トイレでしゃがんだり立ったりしても血圧は乱高下するため、危険度が増してしまいます。
 便秘気味の人も注意が必要です。便が出づらいことから、いきみがちになるからです。スムーズに排便できない人は、かかりつけ医に食事内容を指導してもらうとよいでしょう。洋式トイレをできるだけ使用するほか、自宅のトイレにはヒーターや便座カバーなどを設置して温度差が極力生じないように工夫しましょう。
 ぎりぎりまで我慢して一気に排尿するのも避けましょう。特に排尿を我慢しがちな深夜などは注意が必要です。トイレに駆け込んで血圧が乱高下しないためにも、あまり我慢しないようにします。

入浴時の寒暖差に気をつけて

 入浴する際にも注意が必要です。トイレ同様、寒暖差に気をつけます。寒い脱衣所から熱いお風呂に入れば、下降した血圧が一気に上昇してしまいます。寒暖差をできるだけなくし、安全に入浴できるよう注意することが大切です。入浴するときに実践したいポイントは以下の通りです。

 (1)入浴前に、コップ1杯の水を飲んで血液をサラサラにする
 (2)暖かい場所で服を脱ぐ
 (3)かけ湯をしてから38~40度の、ぬるめの湯につかる(つかる時間は10分以内を目安に)
 (4)湯船からゆっくりと立ち上がる
 (5)お風呂から出た後は体を冷やさないようにしっかり拭き、髪を乾かす

入浴するときに実践したいポイント

お風呂では、かけ湯をしてから浴槽につかる。手や足の先から体の中心にかけて、かけ湯をするのがポイント。入浴前のほか、お風呂から出たあとも水分を十分補給する。また、食事の直後や飲酒時の入浴は控えるのが望ましい。

 これらのほか、飲酒後の入浴も控えましょう。銭湯の熱い風呂や冷風呂、サウナを利用する際も注意が必要です。なお、脱衣所や風呂場が20度以上で、お風呂の湯の温度が40度以下程度の温度差ならば、血圧はほとんど上昇しないといわれています。

起床直後の血圧上昇に注意

 血圧は朝に上昇しやすくなります。特に起床直後は寝床から跳び起きず、体を少しずつ動かしてゆっくりと起き上がるようにします。目覚めた後、すぐに起きずに深呼吸するとよいでしょう。落ち着いてから起き上がることで血圧の急上昇を抑えられます。なお、高血圧などによって傷ついた血管は睡眠中に修復されます。睡眠時間を十分確保することも、高血圧による体へ影響を軽減するためには大切です。睡眠時間が短かったり睡眠の質が低かったりすることが体に悪影響をおよぼすといった研究結果もあります。良質な睡眠を心がけることが血圧をコントロールする上では重要です。
 特に加齢とともに睡眠時間は短くなりがちです。日中の昼寝を控えるなどして十分な睡眠時間を取れるようにしましょう。なかなか寝つけなかったり、昼間に急に眠くなったりといった不調は睡眠障害を患っている可能性があります。良質な睡眠を取りにくい場合、医療機関などを受診し、対策を講じることも大切です。ストレスが影響している場合、ストレスの原因を突き止めて解消することも視野に入れる必要があるでしょう。

高血圧 (5章-2) 高血圧になりやすい性格とは?

「せっかちできちょうめんな性格の人は発作を起こしやすい」
という有名な研究結果があります。
しかし生活習慣を一度改善すれば、発作を起こしにくくなるのもこのタイプです。
自分の個性を把握し、血圧の管理に生かしてみることも大切です。

ストレスは血圧を上げるホルモンを増やす

 「ストレス太り」という言葉をよく聞きます。しかし、ストレスが直接影響して太る、もしくはやせるといった結論を導き出した研究結果や論文はありません。ただし、ストレスを感じると過食になったり食欲が衰えたりすることがあり、こうした理由から「ストレス太り」という言葉は使われているのかもしれません。
 その一方で、ストレスと血圧については因果関係が明確になっています。強いストレスを感じると、脳の視床下部や下垂体から、ホルモンを分泌するという指令が出ます。すると交感神経を介して、体を活動的にさせるアドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールというホルモンが分泌され、心拍数が上昇したり血管が収縮したりすることによって血圧が上昇するのです。加えて、交感神経の緊張によってナトリウムを排せつする腎臓の作用が抑えられることで、血圧がさらに上昇します。これが慢性化すると高血圧を助長することになります。血圧を上昇させないためにも、ストレスをかかえないことが大切です。

心筋梗塞を起こしやすい性格がある

 ストレスをためやすいきちょうめんな性格の人は、そうでない人より心筋梗塞になりやすいという有名な研究があります。米国のハロルド・プラント心臓血管研究所の精神科医は1959年、心血管疾患を起こしやすい人の性格に一定の傾向があることを発見しました。こうした性格の持ち主を「タイプA」と名づけました。タイプAは、勝ち気で短気でせっかち、きちょうめんで責任感が強く、忍耐力があり、競争意識が高く、やるからには徹底的にやらないと気のすまない完璧主義といった性格に近い人です。

心筋梗塞を起こしやすい人の性格例

短気、きちょうめん、完璧主義といった性格の人は、心筋梗塞になりやすいという研究結果がある。

 このような性格の人は心筋梗塞になりやすいことから、タイプAの性格に当てはまる人は「血圧が上昇しやすい」「動脈硬化が進みやすい」人であると読み取ることもできます。ただし、その後の研究によってタイプAは健康面にとってプラスに働く場合があることも分かっています。心筋梗塞を過去に起こしたことのある人の性格を調べたところ、タイプAと性格が正反対の人の方が再発率は高いことが分かっています。タイプAは生活習慣の改善などを真面目に取り組む性格であることが要因と考えられています。

運転中のイライラは血圧を急上昇させる

 もし、高血圧のあなたが「自分の性格はタイプAに近い」と感じたら、どう対処すべきでしょうか。マイナス面とプラスの面の両方を分析し、ストレスと上手に向き合うことが大切です。イライラやムカムカを感じたときは、深呼吸をゆっくりするだけでも、副交感神経の働きが優位になって血圧が下降します。
 特に運転中のイライラには注意しましょう。運転中は緊張を強いられる状態で、健康な人でも血圧が上がりやすくなります。渋滞や割り込みなどでカッとなると血圧の急上昇を招きかねません。車内をできるだけ適温にコントロールしたり、音楽をかけたりしてポジティブな意識を保つようにします。また、時間に余裕を持って出掛けることも大切です。「自分はマイペースでのんびりしているから、タイプAと正反対の性格だ」という人も、楽観視せずにタイプAの長所を見習うようにしましょう。

高血圧 (5章-3) 治療方針を固めて継続的な改善を

健康診断などで高血圧だと分かったら、できるだけ早く病院で再検査を受けるようにします。
医師と相談して治療方針を決めたら、目標に向けて継続的な生活改善にも取り組みます。

症状の度合いやリスクに応じて治療方針を

 高血圧を治療する場合、病院では内科を受診するのが一般的です。ただし、循環器内科、腎臓内科、内分泌内科などを受診しても構いません。医療機関を受診すると初診時、もしくは初診から数回かけて高血圧かどうかを診断します。普段は正常値でも、血圧が一時的に上昇するケースがあるため、継続的に血圧を測定します。腎臓病などに由来する「二次性高血圧」でないかどうかも確認します。
 加えて喫煙の有無、脂質異常症や高血糖、内臓型肥満を患ってないか、過去に心筋梗塞などの発作を起こしてないかなども調べます。これらのリスクが重なると心血管疾患にかかるリスクが増えるため、問診などを通して医師に正しく伝えます。さらに、脳や眼底、心臓、腎臓、血管などの病歴がないか、異常がないかも確認します。こうした患者のさまざまな状況を勘案して、医師は患者にとって最適な治療プランを考えます。

治療法は医師と相談して最適なプランを

 高血圧の治療は、食事や運動、薬物療法などが中心となる。自分で決めるのではなく、高血圧の程度や合併症の有無、普段の生活習慣などをもとに、医師と相談して最適な治療法を考えることが大切である。

 例えば、高血圧の程度が軽~中程度で、そのほかのリスクが少ない場合、食事や運動を軸にした生活習慣改善策を1~3カ月間実施するのが一般的です。それでも改善しない場合、降圧剤を服用するかどうかを医師と相談します。ただし血圧が高く、ほかのリスクなどの心配を抱えている人は、早めに服薬して治療するケースもあります。

定期的に通いやすく話しやすい病院選びを

 高血圧は悪化しないように管理しながら改善を目指す病気です。症状の度合いやリスクは異なっても、一度かかったら定期的に通院する必要があります。
 医師や看護師には、自宅で測った血圧の記録を見せたり、食事や運動内容について話したりして、改善のための指導やアドバイスをもらうようにします。仕事の忙しさやストレスなどといった個人的な事情を相談する機会があるかもしれません。そのため、かかりつけ医は自宅から通いやすく、コミュニケーションを取りやすい医療機関の医師を選ぶことが大切です。複数の医療機関を受診して適切なかかりつけ医を見つけてもよいでしょう。異なる医療機関を受診すると、初診料がそれだけ上積みされてしまいますが、自分に合うかかりつけ医を探し出すことを優先すべきでしょう。
 なお高血圧の治療法は、標準的な治療法を示したガイドラインがあります。過去の膨大な臨床データに基づき、専門医が治療法をまとめています。このガイドラインに沿った治療法が一般的であることから、病院や医師ごとに治療法が大きく異なるといったことはありません。ただし、体質やライフスタイルなどによる個人差に応じて治療法は変わることがあります。

自分で治療する努力も怠らずに

 医師による医療方針に基づき、適切な治療を進める一方で、普段の生活において自ら血圧をコントロールできるようにする取り組みも忘れてはなりません。通院前だけ規則正しく生活し、通院後は暴飲暴食や偏食、運動しないなどの生活を送っては意味がありません。怠惰な生活は、高血糖や内臓型肥満、脂質異常症といったリスクを高め、健康状態を徐々に悪化させてしまいます。「医師に治してもらう」という姿勢ではなく、「自分でよくする」と考え、正しい知識を学んだり、継続のための工夫を取り入れたりすることが大切です。
 家族で高血圧への意識を高めてもよいでしょう。高血圧の人に合った食事の献立を考え、家族全員で健康志向に切り替えることで、血圧の高い人はもちろん、家族全員でダイエットに成功したり、健康状態が改善したりするケースは少なくありません。
 中には継続して改善するのが難しいという人もいるでしょう。意欲が続きにくい人は、血圧をノートに書きとどめるだけではなく、グラフ化して見えるところに張り出して推移を把握しやすくしたり、周囲の人や同じ悩みを持つ人に話して、励ましてもらったりしてもよいでしょう。

生活習慣を継続して改善するために

 生活改善を途中で諦めず継続するためには、家族に支援してもらったり、これまで努力した結果を張り出したりして励みにしてもよい。

血圧が下がれば薬を止められることも

 日々の生活習慣改善はもちろん、処方薬を欠かさず服用することも必要です。決められた量を決められた日時に服用しなければ、薬の十分な効果が見込めません。忙しくて服用を忘れた、旅行先に薬を持参するのを忘れたといった理由で服用できなかったために外出先で急に倒れた、というケースは少なくないのです。
 薬は生涯服用し続けなければならないものではありません。生活習慣改善などによって血圧が正常域で安定すれば、薬の量を減らしたり、中止したりすることもできます。ただし、血圧が順調に下がったと自己判断し、医師に確認せずに自ら薬を止めるのは禁物です。医師に健康状態を必ず確認してもらい、相談しながら薬の量をコントロールするようにします。