腎臓病の原因
腎臓病(第2章)

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高血圧と腎臓病は表裏一体、悪循環を招かないように注意

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腎臓病 (2章-1) どんな生活習慣が腎臓病を招く?

慢性腎臓病(CKD)になる原因はさまざまですが、
近年は糖尿病性腎症や腎硬化症などの生活習慣病を原疾患とする腎臓病が増えています。
すなわち、生活習慣病のリスク因子は、そのままCKDのリスク因子になります。

CKDは生活習慣病の1つ

 慢性腎臓病(CKD)には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病が大きく関与しています。これらがCKDの発症リスクを高め、腎機能の低下を加速させることが明らかになっています。
 つまり、生活習慣病のリスク因子である偏った食生活や過度の飲酒、運動不足、喫煙、ストレスなどは、そのままCKDのリスク因子としても当てはまります。腎臓病はかつて、生活習慣とあまり関係ないと思われていましたが、糖尿病や高血圧を原因とする腎臓病が増えていることから、近年ではCKDも生活習慣病の1つと解釈されるようになっています。http://www.twmu.ac.jp/IOR/  一方、肥満の中でも怖いのは内臓脂肪型肥満です。これに高血圧や高血糖、脂質異常などのリスク因子が複数重なった状態をメタボリック・シンドロームといいますが、これらが合併するほど動脈硬化性疾患の発症率が高まります。高血圧や高血糖の状態が続くと腎臓の動脈も動脈硬化が進行し、血流が滞ってその機能が低下してしまいます。

高血圧や高血糖が原因で腎機能は低下

 高血圧や高血糖によって動脈硬化が進行すると、腎臓の血管も傷ついてしまう。その結果、腎機能が低下する。

 また、内臓脂肪型肥満はそれ自体がCKD発症のリスクを高めます。内臓脂肪からはアディポサイトカインという生理活性物質が分泌されており、内臓脂肪が増えすぎると同物質がマイナスに働き、インスリンの働きを妨害して血糖値を上昇させたり、末梢(まっしょう)血管が収縮して血圧を上昇させたりします。つまり、肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの元凶で、動脈硬化が促進することで腎臓の働きを悪化させてしまうのです。

生活習慣病を招く食習慣

 肥満の解消は、CKDの発症リスク低下につながります。体脂肪量の増減は、食事から摂取したエネルギーと、実際に使ったエネルギーとの差によって起こるため、消費エネルギーより食事によって摂取するエネルギーが多くならないように食べすぎに注意します。
 以下のような食習慣も肥満の原因となるので注意が必要です。  (1)食事時間が不規則になる
 生活が不規則で食事の間隔が空くと、お菓子やジュースなどの間食を取りがちになります。また、朝食を抜くなどして食事回数が減ると、1回の食事で食べる量が多くなるほか、摂取した栄養を吸収しやすくなって肥満につながります。
 (2)外食が多い
 一般的に外食は栄養が偏りやすく、炭水化物や脂質を摂取しがちになります。外食が多い場合、副菜の小鉢をプラスするなどして栄養バランスを整える工夫を心がけます。一品ものの外食を控えるのも一案です。
 (3)夜に食べすぎる
 夜は胃腸などの消化管の働きが活発になることから栄養が吸収されやすくなります。そのため、夜に食べすぎると余分なエネルギーがたまりやすくなってしまいます。

 一方、糖分や塩分の過剰摂取は糖尿病や高血圧を招く原因となります。特に日本人は塩分を取りすぎるといわれています。塩分の取りすぎは血圧を上昇させることから、腎臓への負担が増えてしまいます。

喫煙や過度の飲酒もリスク因子

 食事以外の生活習慣病のリスク因子として注意したいのが喫煙です。タバコに含まれるニコチンの血管収縮作用により、血管内腔が狭窄(きょうさく)して血圧の上昇と血流の低下を招きます。喫煙者はインスリン抵抗性が多く認められ、血糖値が下がりにくくなるといった喫煙と糖尿病の因果関係も解明されつつあります。喫煙は脂質代謝にも悪影響を及ぼすといわれていることから、高血圧や糖尿病、脂質異常症の温床にもなっています。
 もちろん腎臓にも影響を及ぼします。喫煙で血圧が上昇すると腎臓は血圧を正常値に戻そうとします。そのため、タバコを吸うたびに腎臓に負担がかかり、腎臓内の血管にもダメージを与えているのです。タバコを1日20本以上吸う喫煙者は、吸わない人に比べて末期腎不全になる確率が2倍以上になるといわれています。
 一方、飲酒は適量なら健康に大きな影響がないといわれています。しかし、過度な飲酒は生活習慣病やCKDのリスクとなります。また、適量であっても毎日飲み続ければ体に何かしらの影響を及ぼす可能性があります。週に1~2日は、飲酒しない休肝日を設けるように心がけましょう。
 そのほかのリスクには、運動不足や睡眠不足、ストレスなどがあります。特に運動不足が健康に及ぼす影響は、喫煙に匹敵するとの報告もあります。
 肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病は複雑に関係し合い、CKDの発症リスクを高めています。肥満などの原因である生活習慣や食習慣の乱れを改善していくことが重要です。

腎臓病 (2章-2) 腎臓病を発症しやすくする糖尿病と高血圧

CKDの発症リスクは生活習慣病のリスク要因と密接に関係していますが、
中でも糖尿病と高血圧はCKDの発症に深く関与しています。
これらが腎臓にどんな影響を及ぼすのかを解説します。

糸球体毛細血管がもろくなりろ過機能が低下

 透析療法導入の原疾患の中で、糖尿病性腎症が占める割合は1985年時点で10%前後でした。しかし、糖尿病患者が増え続ける中、現在の糖尿病性腎症が占める割合は40%を超えています。糖尿病を放置すると3~4人に1人は糖尿病性腎症になるともいわれています。
 ではなぜ糖尿病を患うと腎臓の機能が低下するのでしょうか。糖尿病はインスリンの分泌異常などによって糖を正常に代謝できなくなる病気です。細胞に取り込まれるブドウ糖が血液中に残って高血糖の状態になり、この状態が長く続くと全身でさまざまな血管病変が生じます。中でも細小血管が障害されやすくなって合併症をきたします。糖尿病性腎症はその1つです。

糖尿病が原因で腎臓病を引き起こす仕組み

 糖尿病によって高血糖の状態が続くと毛細血管などに障害が起きやすくなる。その結果、細小血管症などを招く。

 病態は、毛細血管の塊である糸球体の動脈硬化が進んで糸球体毛細血管が硬く厚くなり、膜が崩れやすくなります。また、糸球体の血管間にあるメサンギウム基質が拡大して毛細血管を押しつぶし、糸球体全体の毛細血管の破壊が進みます。最終的には糸球体のろ過機能が異常をきたし、血管内の老廃物をうまくこし出せなくなります。本来はろ過されないアルブミンなどのタンパク質も漏れ出すようになります。
 アルブミンはタンパク質の1種であることから、タンパク尿検査が陽性と診断された場合、本来はろ過されないアルブミンが漏れ出している可能性が疑われます。尿検査でアルブミン量も測定し、微量でも陽性反応が出たときにはすぐに治療を開始することが大切です。

悪循環を招きやすい高血圧と腎臓病

 高血圧は腎硬化症の原因疾患で、CKDの症状の1つでもあります。高血圧になると腎臓を傷めやすく、腎機能が低下すると血圧上昇を招くことから、高血圧と腎臓病は表裏一体の関係にあります。 悪循環を止めるためには、血圧のコントロールが欠かせません。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、診察室で測定した血圧が収縮期140mmHg以上、または拡張期で90mmHg以上の場合を高血圧と定義しています。このような高血圧の状態が続くと、大きな血管では傷ついた血管壁にコレステロールなどがたまって動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中が起きやすくなります。腎機能の低下を抑えるためにも、高血圧を解消することが大切です。

 腎臓では、次の3つの工程を経ることで高血圧にさらに拍車がかかってしまいます。

 (1)動脈硬化で毛細血管の血管壁が厚く硬くなり、腎臓への血液の流入が減少する
 (2)血液流入の減少によって毛細血管が変化するとともに、腎臓全体が小さく縮む(腎硬化症)
 (3)腎機能が衰えてとナトリウム排せつ能力が低下すると、体液量が増加するため血圧が上昇する

 この(1)~(3)の過程では、血流量を増やそうと血圧を上げるホルモンが腎臓で分泌されるため、高血圧に拍車がかかります。まずは(1)による動脈硬化を抑制し、高血圧に拍車がかからないよう注意する必要があります。

腎臓病が引き金となる腎性高血圧

 高血圧には遺伝的体質に生活習慣などの環境因子が加わって招く本態性高血圧のほかに、病気によって二次的に発症するものがあります。中でも腎臓病が原因で高血圧になるものを腎性高血圧といいます。腎性高血圧はさらに、腎実質性高血圧と腎血管性高血圧に分かれます。
 腎実質性高血圧は、糸球体腎炎や腎硬化症などの腎臓自体の病気で起こる高血圧です。腎機能の低下によりさまざまな調整機能が働かなくなり、塩分や水分が体内に貯留するために高血圧を招きます。
 一方の腎血管性高血圧は、頻度は多くないものの腎動脈に流れる血液量が狭窄(きょうさく)により減ることで起きる高血圧です。動脈硬化で腎動脈が狭くなり、腎臓は「血圧が下がった」と感知して、血圧を調整するレニン・アンギオテンシン系というホルモンを分泌して血圧を上昇させてしまいます。腎動脈が狭窄するのは、先天的に狭窄が生じる若年性のタイプと、動脈硬化により起こる比較的高齢者のタイプがあります。この狭窄が解除されると血圧の薬が不要になることもあります。

腎臓病 (2章-3) さまざまな原因で発症する腎臓病

腎臓病を発症する原因は、糖尿病や高血圧などの病気や生活習慣などがあります。
遺伝や性別、年代によって起きやすい腎臓病もあります。
ここでは、腎臓病の中でも患者数が比較的多い病気の特徴を紹介します。

日本人に多いIgA腎症

 日本人が患う慢性糸球体腎炎の中でも3~4割を占めているのが「IgA腎症」です。私たちの体は病原体が体内に侵入すると抗体を作って対抗します。IgAはその抗体を構成する免疫グロブリンの1種です。このIgAが何かしらの免疫反応によって糸球体を支えるメサンギウム領域に沈着すると、領域内の細胞が増殖して糸球体の毛細血管を押しつぶしてしまいます。その結果、腎臓のろ過機能が低下します。こうした状態をIgA腎症といいます。
 なぜ免疫反応が起こり、かつ長期にわたって持続するのか、発症の原因はいまだ不明です。病原体を排除しようとするIgAと抗原が結合した免疫複合体が、何かの原因で腎臓に流れ込むことによって炎症を起こすといわれています。典型的には上気道炎の後に増悪し、肉眼で分かる血尿が出たりしますが、こうしたエピソードと無縁の症例もあります。扁桃腺が腫れる扁桃(へんとう)炎との深い関連が推定されており、原因となる扁桃腺を摘出し、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を多量に点滴投与する扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法で軽快、治癒が見られることが報告され、注目を集めています。

両親からの遺伝で発症する多発性嚢胞(のうほう)腎

 遺伝性の腎臓病の代表が「多発性嚢胞腎」です。左右両方の腎臓に嚢胞という液体がたまった袋が多数でき、嚢胞が大きくなると腎臓の組織を圧迫します。その結果、ろ過機能などの腎臓の働きが阻害されてしまいます。症状としては成年期以降に血圧が上昇したり、嚢胞により腫大した腎や肝を腹部に蝕知したりすることがあります。この頃より腎機能の低下が出現します。全身の血管にも異常が生じやすく、血圧上昇や脳動脈瘤(りゅう)の合併頻度も通常より高率で、脳出血やくも膜下出血の頻度も高くなります。

多発性嚢胞腎の状態

 腎臓にある嚢胞に液体がたまり、その結果、嚢胞が肥大化して腎臓の組織を圧迫してしまう状態を「多発性嚢胞腎」と呼ぶ。

 遺伝形式は常染色体優性であるため、50%の確率で子供に伝わります。そのため、両親のいずれかが多発性嚢胞腎を発症していたら、子供も成人以降での検査がすすめられます。

全身性の炎症性臓器障害を引き起こすSLE

 全身性エリテマトーデス(SLE)という膠原(こうげん)病の1つが原因となって引き起こされる腎臓病を「ループス腎炎」といいます。膠原病は、体内に侵入した病原体を攻撃するための免疫機構が、何らかの原因で自分自身の体を攻撃してしまうことで起こる病気です。関節リウマチやシェーグレン症候群などの種類がありますが、関節リウマチに次いで多いのがSLEです。20~30代の女性に好発する疾患で、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、慢性的な経過をたどります。
 SLEは関節炎や関節痛、皮膚・粘膜症状、神経症状などの全身性の炎症性症状をきたします。その中でも腎臓の炎症として現れるのがループス腎炎です。免疫機構の異常によって抗体や免疫複合体が作られ、それが糸球体に沈着して炎症を引き起こすと考えられています。ただし、詳細な原因は明らかになっていません。タンパク尿、血尿、むくみ、高血圧などが代表的な症状です。以前はループス腎炎で腎不全に至るケースが多く、SLEの死因でも1位となっていました。しかし現在は免疫抑制剤などで早期に薬物療法を行うことにより、症状の進行を抑制できるようになっています。

妊娠のときの腎機能低下に注意

 女性に限っていえば、妊娠中の腎機能低下にも注意が必要です。妊娠すると、胎児の成長とともに体内に循環する血液量が増えるため、腎臓の負担が妊娠前より増大します。妊娠後期で母体の腎機能に何らかの問題が生じると、タンパク尿や高血圧が現れることがあります。これを妊娠高血圧症候群といいます。かつては妊娠前に現れていなかったタンパク尿やむくみ、高血圧のいずれかが妊娠中に現れた場合、もしくは合併していた場合、妊娠中毒症と呼んでいました。しかし妊娠中のむくみは循環血液量の増加から起こる病的なむくみではないため、定義から外されました。代わりに高血圧が大きなリスク因子となることが近年の研究で明らかになり、名称が変更されました。現在では「妊娠20週以降、分娩(ぶんべん)後20週まで高血圧が見られる場合、または高血圧にタンパク尿を伴う場合のいずれか」で妊娠高血圧症候群と定義しています。
 なお、妊娠前から腎臓病を有している人は妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。妊娠中は胎児の分まで血液中の老廃物をろ過しなければならず、ろ過しきれないと高血圧や尿毒症の症状を招きやすくなるからです。腎臓病やその既往のある人、実際に腎機能低下のある人は、腎臓病の専門医に妊娠出産の適否を相談する必要があります。