数字で見る腎臓病
腎臓病(第8章)

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腎臓病の約7割が健康診断で判明、クレアチニン値とは?

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腎臓病 (8章-1) 知っておきたい腎臓病患者数と透析患者数

腎臓病を患う患者数、ならびに透析療法を進める患者数はどう推移しているのでしょうか。
ここでは、厚生労働省が発表したデータなどをもとに、
腎臓病患者の推移を見ていくことにします。

成人の8人に1人がCKD

 厚生労働省が発表した「CKDの早期発見・予防・治療標準化・進展阻止に関する研究」によると、日本の慢性腎臓病(CKD)患者は現在、1,330万人いると推計されています。実に成人の8人に1人がCKDという結果で、CKDは「新たな国民病」ともいわれています。
 さらにCKD患者は今後も増え続けていくことが予想されています。腎臓病と生活習慣病は密接に関連していますが、厚生労働省によるとメタボリック症候群人口は増加しており、その数は2,000万人に達しています。それに伴って糖尿病や高血圧の患者も増加するため、CKDは今後さらに増えていく可能性が高いといえます。
 1,330万人の内訳を見ると、腎機能が正常時より60%以下に低下しているステージ3以上の人は1,100万人に上ります。一方、厚生労働省が3年ごとに実施する「患者調査」の平成26年の結果によると、慢性腎不全の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は29万6,000人でした。男性18万5,000人で女性11万人、入院患者数は2万4,100人であるのに対して外来患者数は10万7,300人となっています。1,330万人の内訳では、ステージ4とステージ5である人が約25万人であるこことから、治療を受けている人がこのステージと仮定すると、1,000万人以上のステージ3の人が継続的な治療を受けていないことが分かります。

透析患者数は約32万人

 CKDはアメリカの腎臓財団が2002年に提唱した概念です。日本では2006年に「日本慢性腎臓病対策協議会」が設立され、CKD対策に本腰を入れ始めました。背景には、透析療法や腎移植を必要とする末期腎不全の患者数が増え続けていたことが挙げられます。
日本透析医学会の「わが国の慢性透析療法の現況」によると、透析患者数は2011年末の時点で初めて30万人の大台を突破し、2014年末現在、前年より約6,000人多い32万448人を数えます。これは沖縄県那覇市や東京都中野区などの人口とほぼ匹敵します。健診でタンパク尿が陽性となった方の5~10%が、いずれ透析治療が必要となるとのデータもあります。
 透析患者数の増加が問題視されるのは、日本の医療保険財政に及ぼす影響が甚大だからです。透析患者1人あたりの医療費が年間500万円かかる場合、32万人で1兆6,000億円。日本の総医療費は約40兆円ですから、国民のわずか0.25%にすぎない透析患者に、総医療費の4%を費やしている計算になります。年間6,000人の患者が増えるだけで300億円ずつ医療費が増えていくこととなり、末期腎不全への移行を減らし、透析患者数を抑えていくことが急務となっています。そこで、腎臓病の早期発見、あるいは重症化を防止するために慢性腎臓病(CKD)が注目されているのです。自覚症状があまりないステージ3にいる人の治療への意識・意欲をどう高めていくかが、今後の課題といえそうです。

糖尿病患者の医療費が総医療費に占める割合

腎臓病で知っておきたい数字

 透析患者の状況について厚生労働省の施設調査や患者調査の結果からもう少し詳しく見ていきましょう。2014年の透析導入の原疾患は糖尿病性腎症が43.5%を占めています。1998年に糖尿病性腎症と慢性糸球体腎炎で首位の座が入れ替わって以来、糖尿病性腎症の割合は増加の一途をたどっていましたが、ここ数年ほぼ横ばいで推移しています。 透析療法の形態ですが、血液透析が昼間と夜間を合わせて97%となっています。昼間に実施する人が26万9,393人(84.1%)、夜間に実施する人が4万1,271人(12.9%)です。一方、腹膜透析を行う人は9,255人(2.9%)、在宅血液を行う人は529人(0.2%)となっています。
 また、透析療法の実施期間を見ると、「5年未満」が約14万6,000人で5割弱を占めます。「5年以上10年未満」が約7,800人(25.1%)、「10年以上15人未満」が約4万人(12.9%)と続きます。なお、この調査時点での最長透析歴は45年6カ月でした。
 一方、透析療法に代わる唯一の治療法となる腎移植ですが、「臓器移植ファクトブック2016」によると、2015年に行われた腎移植の総数で1,661例です。うち生体腎移植は1,494例、献腎移植は167例(脳死104例、心臓死63例)です。10年前の1,000例前後と比べると移植数は伸びていますが、ここ数年は横ばい、あるいは微増という状況です。腎移植レシピエントの平均年齢は生体腎が47歳、献腎が48歳で、40歳代の移植が最も多くなっています。

腎臓病 (8章-2) 腎臓の健康バロメーターとなる検診項目は?

慢性腎臓病(CKD)の自覚症状は、腎機能がかなり低下しないと現れにくいため、
早期発見には尿検査や血液検査を受けること欠かせません。
職場や市区町村などが定期的に実施している健康診断を必ず受けるようにしましょう。

腎臓病の7割が健康診断で判明

 医療機関を受診するのは、何かしらの症状が現れて心配だからという人が多いのではないでしょうか。しかし腎臓病の場合、症状がなかなか現れず、腎臓病の症状を理由に受診するという人はまれです。腎臓病を早期発見するためには、定期的に実施している健康診断が重要になります。腎臓病患者の7割が健康診断で気づいたという調査結果もあります。
 腎臓の状態を知る上で外せない検査項目は尿検査と血液検査です。尿検査では、腎機能の低下で生じるタンパク尿や血尿(尿潜血)が漏れ出ていないかをチェックします。健康診断の場合、試験紙法と呼ぶ検査方法を用いて、陽性(+)や疑陽性(±)、陰性(-)を判定します。試験紙法による基準は以下の通りです。30mg/dL以上が陽性で、数値が大きくなるほど濃度が高くなっていきます。

 ・(-)15mg/dL未満
 ・(±)15~30mg/dL
 ・(+)30㎎/dL
 ・(2+)100mg/dL
 ・(3+)300mg/dL

 激しい運動後や発熱しているときなどにはタンパク尿が出やすくなります。検査結果が陽性だからといってすぐに腎臓が悪いと決まったわけではありません。しかし、「2+」の場合、正常の値の人よりも10倍近いタンパク質が漏れ出していることになります。
 血尿も試験紙で調べることができ、陽性(+)、疑陽性(±)、陰性(-)で判定されます。健康診断などでタンパク尿、血尿とも陽性だった場合、再検査が必要となります。両方とも陽性だと腎障害の可能性が高いといえます。

血清クレアチニン値の上昇は重要なサイン

 腎機能を調べなら血液検査も欠かせません。血液中に含まれる老廃物の量を調べることで、腎臓の働き具合を把握できるからです。血液検査で確認しておきたい検査項目と基準値を以下にまとめます。

 ・血清クレアチニン(Cr)
 クレアチニンは、筋肉中のタンパク質が分解されてできる老廃物の一種です。本来、糸球体でろ過され、尿とともに排せつされますが、そのろ過機能が低下すると血液中に残ってしまい、数値が上昇します。ただし、血清クレアチニンはろ過機能の低下が始まる段階では数値になかなか反映されません。糸球体ろ過率が50%以下になると急速に数値が上昇します。血清クレアチニンの基準値は、男性が「0.5~1.1㎎/dL」、女性が「0.4~0.8mg/dL」となっています。

クレアチニンが増加する仕組み

 腎機能が低下すると、本来は腎臓によってろ過されるはずのクレアチニンが血液中に残ってしまう。血液中のクレアチニンの量を調べることで、腎機能が低下しているかを把握できる。

 ・血液尿素窒素(BUN)
 血液中に含まれる窒素量を血液尿素窒素(BUN)といいます。この値は、クレアチニン同様に糸球体のろ過機能の指標となります。尿素窒素は食物に含まれるタンパク質の代謝によって作られた分解産物で、尿毒素の1つです。腎機能が低下すると血液中の尿素窒素の値が上がり、30~40mg/dLで腎不全の可能性が高くなります。ただし尿素窒素は、タンパク質の過剰摂取、脱水、発熱などでも数値が上昇し、腎機能以外の影響を受けやすいとされています。腎機能の指標としては血清クレアチニンの方が信頼性は高いと考えられています。尿素窒素の基準値は「8~21mg/dL」です。

 ・尿酸
 細胞の核酸や魚肉類などに含まれるプリン体が代謝されてできる産物です。血液中に一定量以上増えると体内で結晶化し、激痛を引き起こすことがあります。これが痛風です。尿酸値の基準値は「2.5~7.1mg/dL」です。

正確に腎機能を把握できるクレアチニン・クリアランス

 一般的な検査ではタンパク尿や血尿の有無、血清クレアチニンや尿素窒素などの値で腎機能を評価しますが、血清クレアチニンは腎機能がかなり低下しないと数値として現れません。そのため、軽度の腎機能障害を見つけるのに不向きといえます。腎機能障害を見つけるためには、クレアチニン・クリアランス(Ccr)という指標や、血清クレアチニンをもとに算出した推算GFR(eGFR)が用いられることがあります。

 ・クレアチニン・クリアランス(Ccr)
 クレアチニンが腎臓でどのくらい排せつされているかを確認する指標です。腎機能が低下するとろ過する量が減るため、クレアチニン・クリアランスの値も下がります。測定には、1日の尿をためておき(24時間蓄尿)、その中にどの程度クレアチニンが排せつされているかを調べ、血清クレアチニンをもとに計算します。腎機能を正確に把握でき、早期の腎機能低下も把握することができます。クレアチニン・クリアランスは加齢とともに低下するため、正常値は年齢によって異なりますが、およそ「90~120ml/分」です。

 ・eGFR(推算糸球体ろ過量)
 クレアチニン・クリアランスは腎機能の状態を知る上で重要な検査値ですが、計算が複雑なため、最近は血清クレアチニン値と年齢、性別を掛け合わせたeGFRが広く用いられています。「ml/分/1.73㎡」という単位を用い、腎臓がどれくらい働いているのかのパーセンテージとほぼ対応しています。例えば、60(ml/分/1.73㎡)であれば腎機能は正常時の60%と推定できます。ただし、あくまでも推計であるため、正確な腎機能を知るためには、クレアチニン・クリアランスなどを調べる必要があります。